ソウル集団万引きの「悪質」な手口 手際もよく、「出来心」は本当なのか
埼玉県の私立高校のサッカー部員が、遠征先のソウルで集団万引き事件を起こしていた。41人の遠征団のうち、過半数の22人が犯行に及ぶという、万引きとしてはかなり大規模なものだ。
犯行は、監視カメラの映像から発覚した。学校側の聞き取りに対して、生徒は「店員がいなかったから」「つい、出来心で」などと説明しているが、監視カメラには手際よく店の商品を盗んでゆく様子が収められており、常習犯だった疑いもある。
示談のために再び韓国に出向く
遠征は2015年3月23日から27日の日程で行われ、事件は最終日の27日午前に起きた。4月10日になってソウルの警察当局が22人を検挙したことを発表し、事態が明るみに出た。韓国メディアによると、22人は東大門のショッピングモール内の9店舗でベルトや財布など計252万ウォン(約27万7000円)相当、70点を盗んだ疑いが持たれている。
韓国警察の発表を受け、高校の副校長も4月10日夜に会見を開き、「事態を真摯に受け止め、今後このようなことが起こらないように改善したい」などと陳謝した。副校長の説明によると、店側から示談のために韓国に来るように求められ、22人は4月2日〜4日にかけて韓国を訪れて店側に謝罪した。その際に警察にも出向き、調書を取られたという。22人はすでに帰国し、自宅謹慎中だ。
ただ、韓国側の発表と副校長の説明には、いくつか食い違っている点がある。ひとつが被害額だ。副校長は、42点15万5000円について弁償したと説明。韓国側の説明とは28点、12万2000円分も開きがあり、店側との「示談」では完全に問題が解決していない可能性もある。
もうひとつが、犯行の状況だ。副校長は「特に問題行動がある生徒はいない」と説明しており、万引きをした生徒も「つい、出来心で」などと計画的、常習的犯行を否定している。韓国のテレビ各局は監視カメラの映像も放送しているが、そこに映った犯行現場は、学校側の説明とは違った印象を与えるものだ。
ジャージ姿の一団が次々に商品に手を伸ばす
犯行は、主に店の従業員が席を外しているすきを狙って行われた。映像では、ジャージ姿の一団が次々に商品に手を伸ばし、その中の一人は財布か定期入れのようなものをジャージの中に入れる様子が分かる。
中央日報系の「JTBC」は、「店の人に追われると、別の店に行ってものを盗む」と指摘。SBSテレビでは、警察署の担当者が「(生徒は)店舗の前で、『ここは従業員も客もいないから、ものを持ってきても大丈夫』とお互いに立ち話をしていた」などと説明していた。これに加えて、朝鮮日報は、「従業員に声をかけ、従業員が目をそらしている間に他の生徒がものを盗んだ」と報じている。
そうだとすると相当悪質な犯行で、常習犯の疑いがある。