「デート〜恋とはどんなものかしら〜」
フジテレビ 月曜夜9時〜  

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フジテレビの月9ドラマ「デート〜恋とはどんなものかしら〜」が1月19日(月)から放送開始される。
それに先立ち、12日に第一話試写会と記者会見が行われた。
会場入り口に「同行させてください」と書いたプラカードをもった、試写に外れた女子が立っているなど、早くも作品への視線は熱い。肝心の試写は、各所で笑い声が弾むとても楽しい出来。私もあるシーンで不覚にも吹き出してしまうほど、のめり込んで見てしまった。

今後、毎週レビューを書いていく予定だが、第1話放送の前に、ここに期待!というポイントを挙げておきたい。

デートが気になるポイント その1  やっぱり古沢良太脚本

悪魔的弁護士・古美門が活躍する「リーガルハイ」シリーズで、ドラマファンの心をトリコにした脚本家・古沢良太。今、オリジナルも原作ものでも、任せて安心、高打率を誇る作家である古沢の、待ちに待った新作オリジナルにして、初のラブストーリーが「デート〜恋とはどんなものかしら〜」である。
何かとブラックで、ひねりが効いた視点でありながら、ゴールデンタイムに対応できるベタさもある、その黄金バランスと言っても過言でない脚本の妙が、今回も存分に発揮されていると見た。

デートが気になるポイント その2 ヘンテコなラブストーリー

ラブストーリーが食傷気味と言われて久しい中、ラブストーリーの王者の沽券にかけているかは知らないが、今回、月9が挑むラブストーリーは、これまでにないヘンテコなもの。
「人生に恋愛は不要だ」と思っている男女が、恋愛という段階を飛び越えて、いきなり結婚を目指すという、家同士の婚姻が当たり前だった前近代的な行為をはじめ、恋愛感情を持たないままに、デートを積み重ねていく。
恋愛不要という考え方や、見よう見まねでデートを再現していくふたりのぎこちない言動がいちいちおかしい。

デートが気になるポイント その3  杏と長谷川博己のコンビネーション

朝ドラ「ごちそうさん」で国民的女優となった杏が、東大出身の理系女子である主人公・薮下依子(29歳)を演じる。恋愛に興味はないが、受験や就職戦争に勝って残ってきたようなノリで、結婚と出産体験も手にしたいと考えて行動を開始。その方法が、実に論理的なもので・・・。
依子が結婚相手に選んだのが、高視聴率ドラマ「家政婦のミタ」にも出演していた長谷川博己演じる谷口巧(35歳)。
巧は、夏目漱石の小説によく出てくる「高等遊民」(経済的に恵まれているため労働をしないで、文学や芸術にふける人たち)を自負しているが、要するに、ニート。
実家暮らしで、母親(風吹ジュン)の稼ぎで生活していたが、その母の体調が思わしくなく、次の寄生先を求めて結婚を考える。
この設定、会見で、長谷川自身が「最低の男」と自分の役を表していたほどなので、主人公の相手役として今までのラブストーリーにはなかったダメキャラになりそう。
杏と長谷川は、背が高くてスタイルのいい美男美女だが、このドラマでは、いわゆるオシャレな感じを微塵も出さず、かといって、すごくバカにした感じにもせず、みごとなまでに滑稽な男女を愛らしく演じている。

デートが気になるポイント  その4 楽しいセリフのかけあい

「リーガルハイ」でも魅力のひとつだった古沢良太の書くセリフが、今回も健在どころか進化すら見せている。
杏と長谷川による、プロの卓球試合レベルのハイスピードなセリフのかけあいや、パチスロで玉が溢れ出るような勢いで吐き出される心情吐露の長セリフもある。それに「鈴木先生」で見せた現代の病的なモノローグもあるが、その表現に新機軸があって、飽きさせない。

デートが気になるポイント その5  スタッフもリーガルチームプラスアルファ

演出の石川淳一、企画、プロデュースの成河広明は「リーガル」チーム。
その他、これまた大ヒットしたドラマ「のだめカンタービレ」、映画「テロマエロマエ」を手がけた武内英樹も演出で参加して、最強の布陣。

デートが気になるポイント その6  ジャニーズがわき役

ひと昔前まではジャニーズは主役という印象が強かったが、最近は、バーターでない作品で、脇にまわっていい仕事をしていることも増えた。前クールだと「きょうは会社休みます。」の田口淳之介、その前だと「家族狩り」の北山宏光などがそう。
今回も、Hey! Say! JUMPの中島裕翔が、主人公の父(松重豊)が娘に紹介した好青年・鷲尾豊役で出演。主人公たちの新しい価値観についていけない人のガス抜き的存在になりそう。

デートが気になるポイント その7 「孤独のグルメ」の松重豊!

「孤独のグルメ」ですっかり人気者になった松重豊が、主人公の父・俊雄役で出演。巧とは真逆の、清貧が心情の実直な男を演じる松重が、会見では「このふたり(依子と巧)は変態ですよ。変態ふたりのラブストーリーを月9でやりとは深夜のニオイがします。ただ、3、4話撮っているうちに、自分(役のこと)も変態だと気づきました」とか「こじれればこじれるほど面白いので、(依子と巧が)くっつこーがくっつくまいが、こじれてほしい」などと発言して、最も笑いを振りまいていた。松重さん、あなたがいるだけで見たくなります。

デートが気になるポイント その8  主題歌のノリがいい

ドリカムの名曲「うれしい! たのしい! 大好き!」みたいに、天にも上る心地で、恋したくなってしまいそうな主題歌は、「テラスハウス」の元レギュラーメンバーにして、シンガーソングライターのchayが担当する。
主題歌がやたらと耳に残ると、ドラマがヒットすることが多い(私個人調べ)。

デートが気になるポイント その9  このドラマは日本を救うのか?

「リーガルハイ」でも、老人問題をはじめ社会的な問題が登場してきたが、裁判ドラマを書くための道具にしないで、少し角度を変えた見解を示してきた。
今回も、若者が恋愛、結婚、出産に消極的である現代において、新たな視点を提示するのか、それとも、笑い飛ばすのか古沢の狙いが気になる。
また、杏と国仲涼子というイケメンと結婚したばかりの新妻女優が出演していることに理由はあるのか? やっぱり、恋愛しなくてもいいから結婚しようよ、日本の未来のために、キャンペーンドラマなのか? 
まあ、いずれにしても、幸せオーラにあふれたドラマであることには違いないので、幸せにあやかりたい人は見るといいかも? 

何はともあれ、「デート〜恋とはどんなものかしら〜」がどこへ向かうか最後まで見続けたい。
1月19日夜9時放送の第1話は15分の拡大版!(木俣冬)