「BIG FIGHT 01」(スコラマガジン)
「少年ジャンプのアンケートシステムを考えたのは、『アストロ球団』の中島徳博先生」という古き良きエピソードも、このムックでは明かされている。

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いつからだろう。ヒット映画を世に放つ定石として、「マンガの実写化」という手段はかなり有効な手段だと認識されている。『寄生獣』や『アオハライド』は言わずもがな、そういえば『釣りバカ日誌』や『ビー・バップ・ハイスクール』もその類の映画だった。
ここで最も重視されるは、絶対にキャスティングであるべき。その詰め次第で、完成度の9割近くが決まると言っても過言ではないだろう。使い勝手が良いからと、香取慎吾ばかりを起用している場合ではない。

実はこの手の空想、市井で古くから伝わる“遊び”であった。かつてのコサキン(TBSラジオ)は「意味ね〜キャスティング」と題し狂った配役(例:『サザエさん』のカツオ役に鈴木蘭々)を量産していたし、SPA!の投稿ページ「バカはサイレンで泣く」でも投稿者からあらゆる作品の配役(例:『美味しんぼ』の山岡に彦摩呂)を募っていた。
個人的にも、腹案はいくつかある。まず『カイジ』の主役は、間違いなく有吉弘行であるべきだ。『奇面組』の河川唯は、10年前の小野真弓がピッタリだと思う。

現在発売中のムック「BIG FIGHT」(スコラマガジン)にて、いわゆる“格闘系マンガ”が大フィーチャーされている。『キン肉マン』、『リッキー台風』、『THE MOMOTAROH』などなど。
なるほど。昨今の作品ではなく、ボンクラ中年の愛す“格闘系マンガ”が特集されているようだ。

プロレス・格闘技を愛するボンクラ中年と言えば、バッファロー吾郎Aの存在を忘れるわけにはいかない。この芸名からして、正気の沙汰とは思えない。“プロレス好き”を標榜する吉本芸人は多いが、明らかに彼は一味違う。
A氏が「BIG FIGHT」に寄稿するコラムは、必見である。今回の内容は、題して「実写版『キン肉マン』のキャスティングを考える」。

あまりにも盛りだくさんなので抜粋するが、どれもメチャクチャだ。「コメディからシリアスまで幅広い演技力が要求される」という理由で、キン肉マン役に堺雅人をキャスティングしてみたり。テリーマンに柴田恭兵、ロビンマスクに舘ひろし、ウォーズマンに仲村トオル、ナツコに浅野温子、キン肉小百合に木の実ナナと、この辺は「やっつけか?」と思わせつつ、芸人としての腕を見せ付けられた感もあるし。ザ・ニンジャに山田孝之を配するセンスは、妙にツボを心得ている。モンゴルマンに渡哲也という配役は、立川談志が唱える“イリュージョン”の次元まで到達しているのではないか?

悔しくなってきたので、このお正月に私も考えてみた。
キン肉マン:エディ・マーフィ
テリーマン:若い頃の草刈正雄
ロビンマスク:山倉和博
ウォーズマン:吹越満
ラーメンマン(残虐超人時代):上岡龍太郎
バッファローマン:笑福亭鶴瓶(アフロ時代)
ブロッケンJr.:亀梨和也
ジェロニモ:ロブ・ハルフォード
ミート君:春風亭昇太

私の抜擢理由は、あえて明かさない。いや、言わずとも原作ファンならば何となくわかっていただけると思う。
また、ぜひ皆さんも各自で夢のキャスティングを考えていただきたいのだ。興行成績を重視する現実より、遥かに魅力的な実写版『キン肉マン』が次々に生まれてくることだろう。
(寺西ジャジューカ)