ベストイレブンは年間のリーグ戦の成果を問うもの。代表かどうかではなく、リーグの順位を考慮すべき。(C) SOCCER DIGEST

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※週刊サッカーダイジェスト12.30号(12月16日発売号)より
 
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 今シーズンのJリーグを締めくくる祭典、Jリーグアウォーズが12月9日に行なわれ、優勝したガンバの遠藤がMVPに輝いた。
 
 これまで何度もベストイレブンに選ばれてきた遠藤だけど、MVPを受賞するのは初めてのこと。しかも、34歳での初受賞。昨シーズン、35歳でMVPに輝いた中村俊輔と同じく、サッカーに年齢は関係がないことを改めて証明したね。
 
 ただし、これは、若く、イキのいいスター選手がJリーグにいなくなったことも意味しているよ。もちろん、日本代表クラスの選手が欧州のクラブに続々と移籍していることと無関係ではないけれど、かつて俊輔は22歳だった2000年にMVPに輝き、その2年後に海を渡った。まさに「Jリーグでやるべきことはすべてやった」という感じで旅立って行った。
 
 それに対して、今はJリーグでろくに結果を出していないのに、海外に行きたがる選手が多い。まるでヨーロッパでプレーしさえすれば、上手くなれると勘違いしているとしか思えないよ。しかも、だいたいそういう選手は結果を出せずにJリーグに舞い戻っている。
 
 遠藤や俊輔に拍手を送る一方で、来シーズンはもっと旬な選手がJリーグを盛り上げて、MVPに輝くことを期待したい。
 
 そしてもうひとつ、気になったのは、9位のFC東京からベストイレブンに3人も選ばれていることだ。
 
 ベストイレブンがどんな仕組みで選ばれているのか、表彰概要を見てみると、J1の監督、選手による投票結果を基に、チェアマンがまず「優秀選手」を選出。その中から活躍が顕著だった11名=「ベストイレブン」を選考委員会が決定する、という流れのようだ。
 
 選考委員会は、チェアマン、専務理事、常務理事2名、J1各クラブの実行委員18人の22人によって構成されているんだけど、彼らは、日本代表の肩書きに左右されすぎていないだろうか。
 
 もちろん、武藤、太田、森重の3人が良い選手なのは間違いない。彼らが日本代表に選出されることに文句もない。
 
 でも、Jリーグアウォーズのベストイレブンは、その年の“リーグ”のベストイレブンを選ぶわけだから、チームの順位がもっと加味されて然るべきだろう。その判断に、日本代表に選ばれているかどうかは関係ない。日本代表というのは、言ってみれば、代表監督の好みに大きく左右されるものだから。
 
 彼らだけじゃない。昨年、サンフレッチェのリーグ連覇に大きく貢献した塩谷は、残念ながらベストイレブンに選ばれなかった。でも今年、日本代表に選ばれるようになった途端にベストイレブンに選出された。サンフレッチェは8位で終わったというのにね。
 
 2年前にも、ガンバが降格したのに、遠藤がベストイレブンに選出されたことがあったよね。当の遠藤も困惑した表情を浮かべていた。
 
 今年に関して言えば、2位のレッズや3位のアントラーズから、もうひとりずつぐらい選ばれても良かったと僕は思う。
 
 日本代表かどうかでベストイレブンを選出するのは、各クラブが34試合戦ってきた価値を自ら落とすことにつながるのではないだろうか。
 少し前の話になるけれど、J1昇格プレーオフの決勝が行なわれ、モンテディオがジェフを1-0で下し、来シーズンのJ1復帰を決めたね。
 
 J2で6位だったモンテディオは、準決勝、決勝と2試合続けて引き分けさえ許されない状況だったけど、石崎監督に植え付けられたハードワークを武器に、プレッシャーなどものともせずにハツラツと戦った。