モンテディオがダイナミックに駆け回る一方で、ジェフは終始、ギクシャクしているようだった。「絶対に昇格しなければならない」というプレッシャーで明らかにプレーが縮こまっていたからね。
 
 パスにしても仕掛けにしてもセーフティな選択が多く、かつてオシムが言っていた「リスクを冒す」プレーはほとんど見られなかった。
 
 この結果、来シーズンはベルマーレ、山雅、モンテディオと、激しいプレスと運動量をベースに戦うチームがJ1に昇格することになる。どちらかと言うと、パスをつなごうとするチームが多いJ1で、彼らがどこまで戦えるのか楽しみだ。
 
 過去2年、昇格プレーオフを経てJ1に昇格したトリニータとヴォルティスは、いずれも断トツの最下位でJ2に降格しているだけに、モンテディオには、その悪しき流れを断ち切ってほしい。
 
 一方、決勝で敗れたジェフ、準決勝で敗退したジュビロは、ともにJ2で群を抜く戦力を抱えていただけに、不甲斐ないシーズンだった。
 
 ジェフはこれでJ2在籍6年目が確定した。監督が代わり、選手が入れ替わってもJ1に復帰できないのは、クラブの体質に問題があるんじゃないかな。親会社は都市対抗野球のほうに力を注いでいる、なんて話も聞いた。それが真実かどうかは分からないけど、然るべきトップを据えて本気で立て直しを図る必要がある。
 
 すでに、3年に渡ってチームを引っ張った山口智の退団が決定。今後も選手がどんどん流出していけば取り返しがつかなくなるよ。
 
 ジュビロは公約に掲げていた1年でのJ1復帰を逃してしまった。
 
 残り9試合の時点でシャムスカ監督のクビを切り、新米監督の名波を後任に据えたけど、シーズン途中からチームを率いるのは、経験豊富な監督だって簡単じゃない。急には強くはならないよね。
 
 来季は山本康裕や上田康太といった、名波がよく知る選手たちをチームに復帰させる意向のようだ。名波の目指すサッカーに合った選手を集めるということだろう。そう考えると、なぜ、初めから名波を監督にしなかったのか、疑問が残る。
 
 先日、ジュビロの黄金期に社長を務めていた荒田忠典さんがお亡くなりになったけど、当時と今とではクラブの体質やサッカーに対する理解が変わってきているのかもしれない。
 
 最後に、J2で5位になったギラヴァンツが昇格プレーオフに参加できなかった件にも触れておきたい。
 
 ホームスタジアムの収容人数などの問題でギラヴァンツにはJ1ライセンスが交付されていない。だからプレーオフにも参加できなかったんだけど、逆に言えば、そんなハンデを抱えていても5位になるだけの力があるということ。それに、J2は戦えて、なぜJ1では戦えないのか、その理由が分かりにくい。
 
 経営状態をチェックするのは大事なことだけど、ハードルを高くしすぎると、お金のない地方クラブの夢を潰しかねないよ。