日本人材ニュースでは、主要人材会社を対象に人材紹介事業の今年度のマーケティング予算について調査した。その結果、昨年よりもマーケティング予算を増やす企業が多く、積極的なマーケティングを予定しているもようだ。

 調査回答企業58社のうち、マーケティング予算を「増やす」会社が30社となり全体の5割を超えた(大幅に増やす12社、増やす18社)。一方、「減らす」会社は2社にとどまった。

 マーケティングの具体的な施策では、候補者を探す手段として多くの会社が利用している「求職者データベース」についてマーケティング予算に占める割合を見ると、「0〜20%」(20社)、「〜50%」(18社)、「〜80%」(11社)、「〜100%」(9社)となっている。

 近年は求人メディアを運営する大手人材会社が登録者情報を人材会社に提供する仕組みが広がったことから、求職者データベースへの依存度を高めている会社もあるが、回答企業のうち、特に業種や職種、対象者を特化した会社では独自の候補者集めに力を入れている会社が多く、そうした会社では求職者データベースへの予算配分が低い結果となった。

 企業の求人ニーズを受けてから人材サーチを行う会社では、求職者データベースをほとんど利用しておらず、「独自の情報収集にこだわる」、「コンサルタントによるネットワークの構築に注力」などが方針となっている。

 一方、求職者データベースを積極的に活用している会社では、「集客力のないデータベースとの契約を打ち切り、新規データベースの活用を検討中」、「スカウトメールへの返信率が低下しており、活用方法を見直し」など、より効果的な活用方法を模索する動きがある。

 その他のマーケティング施策については、「自社HPの強化(コンテンツ」、「WEB広告」に予算を配分する企業が多いものの、中堅以上の会社を中心に、「交通・屋外広告」、「新聞・雑誌広告」、「DMの発送」、「イベントの開催」などにも一定の割合を配分しており、多様な手段を活用する必要性を感じているようだ。

 回答企業のうち、マーケティング担当者がいる会社は40社(うち、専任担当者がいる会社は18社)となっている。新たに専任担当者を採用したり、増員する会社では、IT、メーカー、流通などの他業種から採用するケースも見られる。また、大手・中堅の会社ではオンライン広告とオフライン広告を分けて専門的に担当させている場合もある。

 異業種から転職してきたマーケティング担当者にヒアリングしたところ、「優良企業と接点を強化していくことが最大の課題」、「登録者のデータベースがこれまで上手く活用されていなかった」、「企業ブランドの向上に対するコンサルタントの意識を高めていきたい」などの声が聞かれた。

「日本人材ニュース」Vol.230(7月1日)から一部抜粋して転載 ※記事の内容は掲載時点のものです。

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