施術前後の比較。むくみがかなり取れている気がする!

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「美容鍼って知ってます? 顔に鍼を打つんです。やってみると面白いですよ!」と知人からタレコミをもらった。

鍼自体をこれまで経験したことがないのに……ましてや、顔に? 痛そうだし、怖い……。しかし、「美容鍼」なるものを30代中盤の男性である私が体験してみるのもまた一興か、と思い直し、美容鍼の施術を行っている東京・渋谷の「鍼灸院 針心」をたずねてみた。

そもそも「美容鍼」ってどんなもの?そんな素朴なところも含め、「鍼灸院 針心」のプロデューサー、邱思維(キュウ・スーウェイ)さんにお話を伺った。

キュウさんと鍼灸の最初の出会いは4歳の時。病院で抗生物質の筋肉注射を打たれた際、左足の神経を痛めて歩くことがままならなくなってしまった。近くの病院では手の施しようがなかったが、親戚に紹介された鍼灸師による施術を受けたところ、たちどころに足が動くようになったのだという。

それから月日が流れ、今から4年前のこと。日本で働いていたキュウさんは重い偏頭痛を患う。いくつもの病院をめぐり検査してもらったが、原因が特定できなかった。処方される痛み止めを飲んでも痛みは激しくなるばかり。藁にすがる思いで中国へ渡り、鍼灸院で鍼治療を受けたところ、自分でも驚くほど短期間で痛みが和らいだ。

人生の中で2回、鍼治療の効能を体験したことがきっかけとなり、日本に鍼灸院を開院して、鍼灸というものをもっと多くの人に知ってもらいたいという思いを強めた。鍼灸院というと“町のはずれにある薄暗い建物”という、暗くて古めかしいイメージか、高級な施術料をとるセレブ向きのものの両極になっていると感じたキュウさんは、クリーンで明るく、それでいて身近なイメージを持ってもらえるような鍼灸院をやりたいと思ったのだという。開院は2013年の“11月11日”。「鍼が並んでるみたいに見えるでしょ?」とのこと。大変覚えやすい。

「針心」には複数の施術コースがあるが、中でも一押ししているのが「美容鍼」のコース(6,200円)。

日本の製造技術により、本場中国よりも細くて高品質な鍼が扱えるようになったため、痛みに敏感な顔にも鍼を打つことが可能になった。実際に鍼を見せていただいたが、指で軽く触るだけで柔らかくしなる、髪の毛よりも細い程のものだった。痛点の多い顔に鍼を打つためにはこの細さが重要なのだという。日本の技術が可能にした鍼の細さと、中国の鍼灸技術が融合して初めて美容鍼が成立するというわけだ。

顔には表情をかたち作る「表情筋」と呼ばれる筋肉があるが、これを細い鍼で刺激することで筋肉本来の動きを取り戻すことができるのだという。また、皮膚の代謝を活性化するという効果も期待できるそう。

その美容鍼、意外なことに「針心」で施術を受ける方の半数近くは男性なのだとか。特に酒好きの男性の顔のむくみ改善には効果的だという。「合コンの前日には絶対おすすめですよ!」とキュウさん。午前休をとって出社前に利用するビジネスマンもいるそうである。

私も酒好き男性の代表として、むくみがちなこの顔をどうにかしてほしい!というわけで、おそるおそる体験させていただくことに。

鍼灸師・松山先生に施術をしていただく。まず、施術着に着替えた上で鏡の前に立って顔をチェック。「人にはそれぞれ利き顔があるんです。顔の左右で目尻の位置と口角の位置が少し違うのがわかりますよね」という。私の場合、右が利き顔で、左半分は目尻、口角の位置ともやや下に下がっている。

それを踏まえて利き顔と反対側から鍼を打っていく。ベッドに仰向けになり、足やお腹から鍼を打っていくが、正直まったく痛みがなく、何がどうなっているのかわからなかった。「もう打ってますよー」と先生に言われて「え! そうなんすか!」ってなものである。いよいよ顔に鍼を打つ段になると、場所によってチクっという小さな痛みを感じることもあったが、ほんの少しの痛みで、それよりもズーンという衝撃というか、まさに「ツボを押される」感覚が強かった。

顔半分に鍼を打ち終えたところで、手鏡で確認したのだが、「あれ、こんなにたくさん打ったっけ」という印象。片側で十数本ぐらいか。

ぽかぽかと暖かい赤外線のライトを当てられつつ5分ほど時間をおくのだが、体験レポートをまとめるためにいろいろ覚えておこう、と思ってもどうしてもふっと眠りに落ちてしまうのだった。施術後、キュウさんに「ふわっとして、落ちるっていう感じですよね」と言われたが本当にそんな感じだった。

さらに顔の半分、利き顔の方へも施術を行い、しばし時間をおいた後、鍼を抜いて施術完了。施術前と同様、鏡の前に立つと、目尻と口角の位置がぴったり合うようになっているではないか。顔もシャープになったような……。まあ、間の抜けたツラには違いないが、なんか違う気がする!

この日、施術後に知人に会う予定が会ったので「俺、いつもと顔違わないっすか?」と聞いてみた。「え? そうですかね?」「少し、ハンサムになってません?」「はあ、言われてみれば、そうかもしれません」というような反応だったが、その人は普段から俺の顔をよく見てない、ということにしよう。ちなみに、顔だけでなく体がポカポカし、肩のコリがほぐれた気もする。「美容鍼」コースと言えど顔だけでなく手足、腹部などさまざまな箇所に鍼を打って体全体の血流を整えるのだそうだ。

キュウさんによると、一回の施術の効果は1週間ぐらいで薄れていくという。そのため、始めの月は1カ月に6回程度のペース、翌月に4回のペースにし、あとは間をあけて定期的なケアを行っていくのがおすすめだとか。

「針心」には「美容鍼」のほかに「健康鍼」「クイック鍼」「温灸」などのコースがある。ご自身が母親であるキュウさんが、お母さんたちに利用して欲しいと用意した割引コース「ママ支援鍼」も。ママたちが院を貸し切り、互いに子供の面倒を見合いながら交代で施術を受けるケースもあるのだとか。老若男女、さまざまな用途で利用して欲しいとのことなので、まずはお電話で相談を。

「マッサージのチェーンがたくさんあるように、もっと手軽に利用できる鍼灸のチェーンを作りたい。そして中国に逆輸入するのが夢なんです」と語るキュウさん。ぜひ「針心」をお気軽に利用してみて欲しい。
(スズキナオ)

※記載した効果・効能については筆者個人が感じたものであり、施術による影響には個人差がありますので予めご了承ください。

鍼灸院 針心
東京都渋谷区渋谷2丁目10番15号 JPLビル3F