ひきこもりのきっかけともなる“不登校”が、社会問題となっていることは言うまでもない。文部科学省では、今後の不登校生徒への支援策の参考とするため、2006年度に不登校であった生徒の5年後の状況等の追跡調査を2011年度から調査研究会を設けて調査・分析を実施している。それによると、不登校の原因は“無気力型”が約半数を占めているものの、支援が充実してきおり、高校進学率は8割を超えていることが分かった。

 調査によると、不登校の主な継続理由でもっとも多いのは、「無気力でなんとなく学校へ行かなかったため(43.6%)」。次いで、「身体の調子が悪いと感じたり、ぼんやりとした不安があったため(42.9%)」、「いやがらせやいじめをする生徒の存在や友人との人間関係のため(40.6%)」、「朝起きられないなど、生活リズムが乱れていたため(33.5%)」、「勉強についていけなかったため(26.9%)」、「学校に行かないことを悪く思わないため(25.1%)」と続いた。

 調査時点までの進路を聞いてみると、中学校卒業後の高校進学状況は高校進学率85.1%、高校中退率 14.0%だった。20歳現在の就学・就業状況は、「就業のみ」34.5%、「就学のみ」27.8%、「就学・就業」19.6%、「非就学・非就業」18.1%となった。20歳現在の就学先は、「大学・短大・高専」22.8%、「高等学校」9.0%、「専門学校・各種学校等」14.9%。20歳現在の就業状況は、「正社員」9.3%、「パート・アルバイト」32.2%、「家業手伝い・会社経営」3.4%となっている。

 5年前の前回調査と比較すると、不登校経験者の高校進学率は19.8ポイントと大幅に増加するとともに、高校中退率は23.9ポイント下がっている。さらに、大学・短大・高専へ就学している割合も6.3ポイント向上しており、就学も就業もしていない割合は4.7ポイント減少している。

 中学校3年生の時に受けていた主な支援は、「学校にいる相談員(スクールカウンセラー等)」が34.0%、「学校の先生」が29.5%、「学校の養護教諭」23.6%と学校内で支援を受けていた生徒が多かった。一方で、「病院・診療所」24.1%、「教育支援センター(適応指導教室)」19.7%、「民間施設(フリースクールなど)」8.8% といった学校外に支援を求めた生徒もいた。何も利用しなかったと回答した者は 22.5%となった。

 インタビュー調査によると、不登校によって勉強、友人、進路等でのマイナスがあったという意見の一方で、「休んだことで今の自分がある」「成長した・視野が広がった」「出会いがあった」「人とは違う経験をした」「人に優しくなった」など、不登校の経験を振り返りながら前向きに進んでいる様子もうかがえた。
 
 調査は、過去に不登校であった者のうち、2006年度に中学校第3学年に在籍し学校基本調査において不登校として計上された者(4万1043人)を対象として2011年から段階的に実施している。

調査の概要
(1)調査対象者が在籍していた中学校に対する基礎的な調査
実施期間:2011年10月〜12月  回答数:2万8388人
(2)調査対象者本人に対し、中学校在籍当時、中学校卒業後及び現在の状況等について、無記名のアンケート調査
実施期間:2012年1月〜3月  回答数:1604人
(3)調査対象者本人に対し、アンケート調査内容をさらに掘り下げたインタビューによる調査施
実施期間:2013年8月〜12月  回答数:379人

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