吉野家の店頭に赤ちょうちんが灯る

写真拡大 (全4枚)

牛丼の大手チェーン「吉野家」の東京千代田区・神田店の2階は、夕方以降「吉呑み」という居酒屋業態になる。そんな情報をTwitterで目にして驚いたのが数週間前のこと。

アップされていたメニュー表の画像には、「まぐろ刺身」「冷奴」など、居酒屋の定番的な品々が並ぶ。どれもリーズナブル価格な上、「牛すい」など、気になるメニューも。ビールやチューハイ、ホッピーも飲めるらしい。

調べてみたところ、JR神田駅店に続き、2014年6月になって東京駅八重洲通り店、西五反田一丁目店も「吉呑み」としての営業を開始したという。これは行ってみたい。

そんなわけで今回、吉野家「西五反田一丁目店」で「吉呑み」の楽しみを体験するとともに、吉野家の方へ詳しいお話を伺ってきた。

まずは、そもそも「吉呑み」というスタイルでの営業が始まったきっかけを伺った。

吉野家はお昼時に利用される方が多い傾向にありまして、2階建ての店舗ですと、夜は2階を閉めて1階部分だけで営業する店舗が多かったんです。このスペースを有効活用して、夕方から夜の時間帯にもお客様にもっと吉野家を楽しんでいただけないかと検討を重ねていました。そのアイデアの一つが"吉呑み"なんです」

「そこで、JR神田駅店を一つのモデルとして、昨年の秋口に、平日の17時半から22時半という時間で吉呑みを始めさせていただきました。神田は飲み屋さんのひしめくエリアで、周りには安くお酒を楽しめる場所がたくさんあるのですが、そのエリアの中でも十分な業績を上げることができましたので、ぜひ他店舗へも拡大していこうということになりました。先月(2014年6月)から2店舗が増え、現在都内の3店舗で営業しています。具体的な時期は未定ですが、東京・大阪を中心にした大都市への拡大をさらに検討しているところです」

ターゲットとなる客層は店舗の近くに勤務するビジネスマン層だという。

「働いている方が多くいる町で、駅の近くで2階建ての店舗、というのが吉呑みとして営業する店舗のモデルです。仕事帰りに軽く一杯、といった感じで気楽に寄っていただける場所をお客様に提案できたらと思っています」

酒飲みのツボを絶妙に抑えたメニューはどのように考案されたのだろうか。

お酒が好きな方の気持ちに立って考えた上で、なおかつ吉野家吉野家ホールディングスグループの会社で扱っている食材を利用して実現できるメニュー、ということで絞り込んだのがこちらのメニューなんです。中でも"牛すい"が一番の人気商品です。その次に好評なのが"牛すじ煮込み"となっています。"牛すい"に平打ち麺が入った"牛すい麺"も個人的に好きなメニューです。他に、揚げ物系も人気ですね」

どんな風に利用するのがおすすめでしょうか。

「先日、吉呑みに行ったところ、偶然知り合いに会ったんです。何か近くで用でもあったのかと聞いてみると、これから歓送迎会があるんだけどそれまでに時間が少し空いちゃってね、と言うんです(笑)まさにそういった風に、空いた時間に気軽に一杯お酒を飲みに行けるような場所を目指しております。東京駅八重洲通り店なんかですと駅からすぐの場所なので、バスや電車までの待ち時間にちょっと一杯、といった使い方もできます。居酒屋というと少し構えてしまいますが、それよりもっと気軽な"チョイ飲み"に最適な店として使っていただけると嬉しいです。とはいえ、もちろんゆっくりと長居していただいても結構ですよ(笑)お客様に思い思いの楽しみ方をしていただけるとありがたいです」

お通し代や席料も不要で、好きなお酒とおつまみをサクッと楽しむことができる。そんなスポットが勤務地の近くにあるのは大変ありがたい…。

さて、いよいよここからは一人の客として「吉呑み」を体験してみよう。

まずは、「生ビール(310円※キャンペーン割引価格)」と「牛すじ煮込み(350円)」「まぐろ刺身(300円)」をオーダー。

「牛すじ煮込み」は箸で簡単にほぐれるほど柔らかい肉から、旨みたっぷりの脂がしみ出す一品。ホクホクに煮込まれた大根が添えてある。個人的におすすめなのは紅ショウガを乗せて食べるというあわせ方。爽やかな酸味と濃厚な肉の旨みが口の中に一気に広がり、ビールがあっという間になくなります。

「まぐろ刺身」は、6切れ入り。プリプリの食感がいいじゃないですか。倍の量で500円の「まぐろ刺身W」もある。

取材当日はあいにくの雨模様だったが、店内は早い時間からわいわい楽しむグループ客、カウンターでゆっくりお酒を味わう一人客がどちらもひっきりなしにやってきていた。ちなみに吉呑みには「喫煙室」が設置されており、完全に分煙化されている。吉野家の方は「すべてお客様に楽しんでもらえるよう、どの店舗にも喫煙室を設置していく方針です」と語っていた。

次に、店内のポスターでおすすめされていた「黒ホッピー(400円)」を。吉野家でキンキンに冷えたホッピーを飲める面白みよ。ジョッキも冷やしてある徹底ぶりだ。

「お新香(100円)」と「牛すい麺(400円)」もオーダー。「お新香」はもちろんあの、吉野家のお新香です。ああ、うまい。

「牛すい麺」は、牛丼と同じものを使っているというお肉に玉ねぎ、豆腐、もちもちの平打ち麺が旨みたっぷりのだし汁の中に浮かぶ。さっぱりとして後にほんのり甘味が残るお汁で、食べ応えも十分だ。あと、当たり前だが、吉野家のあの唐辛子をたっぷりかけて食べることができる。香り高いのにそんなに辛くないあの唐辛子、大好きなんだよなー。

ちなみに、「牛丼」を始めとした吉野家の通常メニューもオーダーできるとのことで、「シメはどうしても牛丼がいい」という方も安心。十分飲み食いして2,000円を切る安心価格。財布の中身と相談しながら、好きな分だけ楽しめるのが嬉しい。家の近くにできないかなー!

その日の気分や都合に合わせて色々な使い方ができそうな「吉呑み」。ぜひ仕事帰りに立ち寄ってみてはいかがだろうか。
詳しい店舗情報や、メニューについては公式ウェブサイトをご参照のこと。
(スズキナオ)