慶應義塾vs伊志田
この日も気温30度を超えた7月16日、横浜スタジアムでは神奈川大会の2回戦2試合が行われた。第1試合は慶應義塾と伊志田の対戦。初回はお互い三者凡退と静かな立ち上がりを見せた。
試合が動いたのは2回表。慶應義塾は二死から6番・木村 洋介が左中間へのツーベースを放ち出塁する。続く7番・土井 涼の当たりはライト前へぽとりと落ちるヒット。滞空時間の長い当たりに加え二死ということもあり、二塁ランナーの木村が生還し先制する。さらに8番・宮田 皓がライトへツーベースで出塁し、二死二、三塁。このチャンスに9番・亀川 泰輝が打球をライトへ弾き返し土井がホームを踏み2点目。宮田も三塁をまわりホームへ突入。伊志田ライト・小川 大器からストライクのバックホームが送られてくるが、宮田の足がそれより一足先にホームに到達。慶應義塾はこの回、3点の先制に成功する。
3回にも1番・大久保 貴裕、2番・三枝 遼太郎が連打で出塁し、追加点のチャンス。しかし後続が打ち取られ、追加点ならず。ここから慶應義塾は、伊志田の粘り強い守りに苦しめられる。5回には二死一、三塁、6回には一死一、三塁とそれぞれ三塁にランナーを進めるも、ことごとく後続が断たれてしまい得点に結びつけることが出来ない。
一方の伊志田。粘り強い守備を見せるものの、打線は慶應義塾先発・土井 涼の前に沈黙。3回二死から9番・栗原 達郎にチーム初安打となるライト前ヒットが生まれるも後が続かない。6回には先頭の2番・柏谷 亮がショートへの内野安打で出塁、バントで送り一死二塁のチャンスを作るが、後続がファーストフライ、ライトフライに打ち取られてしまう。
逆に、ピンチを切り抜けた慶應義塾。ピンチの後にチャンスありというものの、直後の7回も2人があっさり倒れて二死走者無し。しかしここから、慶應義塾がその力をようやく見せつける。
まず4番・名幸 大成が、あわや入るかというライトフェンス直撃のツーベースを放ち出塁すると、続く5番・吉田 将大が同じく右方向へ大きな当たりを飛ばす。打球はぐんぐんと伸び、ライトスタンドポール際に飛び込む大会第12号ホームラン。待ちに待った追加点を派手に奪うことに成功する。しかしこれでは終わらない。6番・木村 洋介がヒットで出塁。さらに7番・土井 涼もレフト前へ打球を飛ばす。ボールが高いバウンドでレフトの頭上を越えるや、木村は三塁を回りホームへ還り3点目。打った土井も二塁へ到達し、さらにチャンスは続く。
8番・宮田 皓の強い当たりがサードを強襲。鋭い打球がグラウンダーでサードを越えていき、レフト前へ。土井が二塁からためらうことなくホームへ突入。4点目を挙げ7対0。とどめは9番・亀川 泰輝がセンターの頭上を越えフェンスに当たるタイムリースリーベース。この回慶應義塾は二死走者無しから一挙5点を挙げ、試合を決めた。
7回裏、伊志田は代打攻勢に出るも、2番手で登場した津留崎 大成に抑えられ不発。8対0の7回コールドで慶應義塾が勝利を収めた。勝った慶應義塾が得点を挙げたのは、いずれもあっさり二死を取られてから。これは攻撃面での課題とも取れるが、集中力は見せられた。あとはその集中力をいつ発揮するかだ。勝ち進むにつれ、その集中力の発揮しどころが大切になってくる。
（文＝青木 有実子）
