浦添商vs名護商工

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最後の夏を迎える三年生全員で掴んだ4年ぶりの優勝

「この決勝戦は三年生全員で臨ませてやろうと思って」

 と試合後に語った浦添商・宮良 高雅監督。 18年ぶりに制した一年生中央大会でも活躍した左腕・天久 太翔、右腕宮城 清主や、春季県大会で2番ショートで出場した与那嶺 瞬ら現2年生を外して、互いに走り続けてきた3年生全員のために檜舞台を用意してくれた指揮官の意気に対し、ナインたちは見事優勝という形で応えてみせた。

 先制したのは浦添商。初回、不動のトップである長田 涼太が四球で出塁すると、ワイルドピッチでニ進。犠打で一死三塁を作ると、3番新里 龍平がレフトへきっちりと打ち上げる犠牲フライで長田が生還した。

 2回にも福地 由希斗と前田 光晴のヒットに犠打を絡めて一死一、三塁とチャンスを作ったが、強硬策は4-6-3と渡るダブルプレーで追加点にはならなかった。

 一方、高校商業野球大会初優勝を狙う名護商工は、ここまでチームを引っ張ってきた177センチの長身幸地 勇河が、先述した2回の併殺打から立ち直り、以降は5、6回のヒット2本のみと素晴らしいピッチングを見せ、試合を引き締める。

 だが7回、浦添商の二人の打者の粘り勝ちが試合を左右することとなる。

あと一歩というところまで追い詰めた名護商工

 その7回裏、名護商工・幸地は簡単にニ死を奪う。だが、打席に入った前田が9球、続く代打のラスマセン 懐も7球と粘って四球を選ぶと、同じく代打の金城 廉が2球目をライト前へ運び、浦添商が欲しかった追加点を奪った。

 幸地は8回裏、チームと自らを鼓舞するように打者を三者凡退に斬ると9回表、先頭打者として打席に入りセンター前ヒットで出塁する。一死後、四球で一、二塁とした所で「ここはエースしかない」(宮良監督)と、昨年秋季県大会で2試合連続完封勝利を収め、準々決勝の宜野座戦では12回と1/3イニング、186球を投げた砂川 優士をマウンドへ送る。

 だがその代わり端の初球、比屋根 和斗がセンターへ運び満塁とすると、代打の外間 康太が四球を選んで欲しかった1点をもぎ取る。続く糸数 翔哉は砂川に8球を投げさせたが、最後は三振。浦添商が4年振り7度目の優勝を飾ったのだった。

 敗れた名護商工だが、この日の4打数3安打を含め、準決勝から集計する打撃賞にも.556で一位に輝くなど、投打でセンスの良さを表した。それと同時に、少人数のチームながら強豪浦添商をあわやという所まで追い詰めたことは、彼らにとって自信となったことだろう。来る選手権大会でも大いに期待が持てる準優勝であった。

(文=當山 雅通)