広陵vs鳥取西
鳥取西・川上遥
12対1。広陵が鳥取西を5回コールドで下した。さすが全国クラスの広陵と思わせる試合内容だったが、鳥取西の高垣監督は「夏前に広陵さんのような甲子園常連校と練習試合ではなく、大会で対戦出来た。大会の方が学ぶことが多いですし、対戦できたというのが今日の収穫です」と話した。先発は川上 遥（2年）。184センチ83キロと恵まれた体格をした大型右腕である。体格が良いだけではなく、投球フォームが良い。始動からゆったりと左足を上げて、右足にしっかりと体重を乗せて、捕手方向へまっすぐ体重移動を行い、テークバックは内回りの旋回からリリースに入る。動作は癖がなく、肩、肘が柔らかい。フォームが良くて、身体に柔らかさがある投手は伸びやすい。常時130キロ中盤・最速138キロを計測していたが、さらに伸びるのではないかと期待させる投手だった。面白い試合になるかと思っていたが、だが広陵打線は川上の直球にアジャストしていた。鳥取では力で押し切ることはできていたが、広陵の選手はとにかくファールで粘る、1回表、一死満塁の場面で、5番廣兼 直人（3年）は11球ねばり、12球目でボールを選び、押し出し四球で先制された。
1回表に、27球も投げたことも影響したのか、3回表には一死満塁から再び5番廣兼に走者一掃の二塁打を打たれるなど計5失点。3回途中からライトを守っていた植田 寛之（3年）が登板したが、5回表に4番太田 光（3年）の2点適時打などで一気に6得点を入れられ、12対1と差を広げられた。
走者一掃の二塁打を放った5番廣兼選手（広陵）
鳥取西は3回裏に5番田見 康一郎（2年）の適時打で1点を入れたが、その後、広陵打線を打ち崩せず、12対1で試合を終えた。高垣監督は「広陵さんはボール球になるところはしっかりと見逃し、際どいところをファールで粘っていくので投げる球がなく、本能的に真ん中を投げて、打たれてしまう。鳥取では押し切るような投球ができていましたが、全国レベルのチームには簡単に行かないです。彼らは全国を目指してやっているので、そういうチームと対戦出来たのは夏へ向けて収穫だったと思います」川上は、夏へ向けての課題として、「直球で押し切れるように、さらに直球を磨いて、140キロ台に達したいですし、変化球、投球術などを磨いていきたい」と語った。今日は3回途中で降板したとはいえ、183センチの長身から130キロ後半を投げられる高校生はそういるものではない。まだ2年生。全国を意識して、恵まれた才能を開花させることができるか期待したい。
春の県大会優勝を決め、夏では優勝候補と期待される鳥取西。この敗戦をきっかけに、夏では驚かせるような野球を展開してくれるのか、注目してみたい。
（文＝河嶋 宗一）
