霞ヶ浦vs横浜

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強豪横浜が地元開催の初戦でまさかのコールド負け 

強力横浜打線相手に好投した上野(霞ヶ浦)

「選手に慢心がある」 試合後、名将・横浜の渡辺元智監督は、厳しい口調で語った。 霞ヶ浦のエース・上野 拓真と捕手山田 拓朗の身長は166センチ、4番平瀬 翔吾は168センチと、先発メンバーのうち6人は160センチ台。70センチ台後半から180センチ台の選手が並ぶ横浜とは、体格からして違う。しかも横浜はメンバーの多くが昨夏、この春と2度の甲子園大会に出場した全国レベルの強豪。茨城県2位で、好チームと評判の霞ヶ浦といえ、劣勢であることは否めなかった。 1回表霞ヶ浦は1番戸部 将稀が中前安打で出塁。2番岩崎 将大、5番村上 孝太郎が四球で二死満塁。続く6番小川 翔平が四球でます1点を先取。しかし強豪・横浜相手であることを考えると、もう1、2点ほしいところだが、後続は絶たれた。

 その裏、横浜は1番浅間 大基、3番川口 凌が二塁打を打ち、同点に追いついた。打球の強さ、鋭さからみて、ここから横浜の猛攻が始まるようにも思えた。3回裏には渡辺 佳明の左前適時打で、横浜が1点リードを奪った。

 ところが、横浜の先発・伊藤 将司がピリッとしない。5回表には4つの四球で、あっさり同点に追いつかれた。しかも、5回を終わったところで投球数は96に達しており、本人の疲労だけでなく、野手たちの打撃のリズムも壊していた。横浜の渡辺監督は、「(投球の)バランスが悪い。指摘しても、一向に直そうとしない」と、ベテラン監督としては珍しく指導の難しさを吐露した。

 

まさかの大敗を喫してしまった横浜の内野陣

 一方、霞ヶ浦の上野は4回以降すっかり投球のリズムを取り戻し、4回以降は盗塁刺殺も含め、横浜の攻撃を3人で抑え、それが攻撃にもつながった。 ビッグイニングが7回表に訪れた。途中出場の2番根本 将汰が内野安打で出塁すると、続く菅原 直輝も内野安打、4番平瀬、代打清水 達希が続けて四球でまず押し出し。一死後、7番山田 拓朗が右前安打で二者生還。続く代打山本 司は三振の後、9番上野は三塁側ラインギリギリに落ちる左前安打で、さらに1点。ここで横浜は先発・伊藤を諦め春日井 静斗と交代。春日井からも1番戸部が左前安打、打者一巡で回って来た根本が三塁打を放ってこの回一気に7点。コールドの要件を満たす7点差がついた。 その裏上野は横浜打線を2三振と遊ゴロに抑え、横浜がまさかのコールド負けを喫した。

 結果としては7回表の7点が全てであるが、そこに行くまでの伊藤の投球数の多さ、リズムの悪さがその原因となった。 第1試合に横浜登場ということで、横浜スタジアムの切符売り場には試合開始前に長蛇の列ができたが、内野を埋めた観衆も驚く横浜の大敗であった。力があるチームであることは確かなだけに、夏までにチームをどう立て直すか、注目される。 対する霞ヶ浦の上野投手は、横浜の強力打線に対しての、気迫あふれる投球が光った。

(文=大島 裕史)