「そとづら」が悪ければ、何をしても人とうまくやれない

写真拡大

 少し前に『人は見た目が9割』(竹内一郎/著、新潮社/刊)という本がベストセラーになった通り、確かに「見た目」がその人の印象を決める大切な要素です。
 しかし、いくら見た目に気を使っても、それが独りよがりものであったら意味はありません。

 ANA(全日空)のチーフパーサー(客室乗務員のリーダー)であった三枝理枝子さんは、「そとづら」を意識するとよいといいます。
 もしかしたら、「そとづら」という言葉に対して、「八方美人」や「お調子者」などあまり良くないイメージを持っている人も多いかもしれません。
 しかし、ここでいう「そとづら」とは、いわば家の玄関にあたる空間のことで、誰かが訪ねてきたときに応対するスペースであり、常に外から見えている部分です。一方で「内面」は、家の中にあたります。
 いくら家の中(=内面)をよくしていても、玄関(=そとづら)が近寄りがたい感じであったら、誰も好意的に接してくれないのです。つまり、「そとづら」を意識することで、誰からも好かれ、必要とされる人になることができます。

 三枝さんが執筆した『人は「そとづら」が9割』(アスコム/刊)の冒頭に、「そとづら力」のチェックリストが掲載されているので、そのうちの10問を抜粋します。あなたはいくつ当てはまりますか?

□ 外出する前に鏡を見て自分に満足している
□ 同じ人に会うとき、前回と同じ服装はしない
□ ごみ箱の近くにごみが落ちていたら迷わず拾う
□ 1日30回は「ありがとう」を口にしている
□ たとえつまらない話でも興味ありそうに聞き、盛り上がれる
□ どんな人でも、紳士ないし淑女として見ることができる
□ 「私は」「僕は」などの一人称代名詞をほとんど言わない
□ どんなに大ピンチになっても、自信満々の表情が作れる
□ 人がミスや恥ずかしいことをしたときは、ナイスフォローができる
□ 別れるときは、相手が完全に見えなくなるまで見送る

 当てはまる項目が多ければ多いほど、あなたの「そとづら力」は高く、誰かも好かれる体質だということです。少ないと、知らない間にあなたの評価はかなり低くなっているかも。半分以上当てはまらないと、ちょっと危険です…。

 では、「そとづら力」はどうすれば改善できるのでしょうか。また、もっと上を目指したいという人は何をすればいいのでしょうか。
 本書には「そとづら力」を高める数多くの方法が紹介されており、読者ができるところから実践していけるようになっています。その一部をご紹介しましょう。

■「私は」「僕は」とはなるべく言わないようにする
 意外に思われるかもしれませんが、「私は」といった一人称を頻繁に使うと、自己主張が激しいように思われてしまいます。
 そうではなく、「○○さんは…」というように相手を主語にして話をするのがコツ。相手の話をよく聞いていることがアピールできますし、名前を呼ぶことで相手の存在を大切にしていることまで伝わるからです。

■相手を紳士・淑女であると信じ込む
 著者の三枝さんは、ANAの客室乗務員時代に、様々なお客様と接してきました。国際線にもなると、出身地も職業も年齢も性別も、さらには性格までもそれぞれ違います。でも、どんな相手にも通用するおもてなしが実践できました。
 ポイントは、どんなお客様に対しても敬意を持ち、紳士・淑女として接することだったそうです。どんなに横暴な態度をとるお客様に対しても、「あなたは紳士です。本当は、そんなふうに人に迷惑をかける方ではありませんよね」という気持ちで接するのです。すると、相手もその心を感じ取り、こちらの思いに応えてくれる、と述べています。

 その他にも、「子どもやペットの話は避ける」「『あの〜』や『え〜と』などの頼りなさそうな言葉は、第一声だけ言わないようにすればOK」など、本書にはユニークな方法が満載。

 初対面の人はもちろん、その場限りの関係の人であっても、良い印象を残したいもの。忘年会や新年会など、いろんな人と会うことが増えるこれからのシーズンこそ、本書のスキルは役立ちます。
 人は1分でその人を判断するといいます。そのとき、内面まで見通せる人はほとんどいません。まずは「そとづら」をよくすること。それが大事なことなのです。

 ちなみに「そとづら」が良ければ、「うちづら」が多少だらしなかったり、尖っていたりしてもいいそうです。これなら、自分に無理せず簡単にできそうですよね。
(新刊JP編集部)