リア充と非リア充の境界線はどこ?
人はどのようなことに幸福を感じるのだろうか。
社会に出て働いている人であれば、仕事が上手くいっていたり、家族がいるというようなことも幸福感を生み出す要因になると考えられるが、では、「若者」はどうだろう。
『週刊SPA!』の人気連載「週刊チキーーダ!」を担当するエコノミストの飯田泰之さんと評論家の荻上チキさんコンビが執筆した『夜の経済学』(扶桑社/刊)では、様々な統計データを用いて、若者の幸福度や生活満足度をアップさせる要素は何かについて考察している。
■“運動部出身者”は幸福感が高い?
2人は『第4章 「幸福な若者たち」って誰のこと?』の中で「ロジスティック回帰」という統計的回帰モデルを使って、幸福だと感じている大学生たちと、そうでないと感じている大学生を分け隔てるものを暴こうとしている。
本書には図表と数字データが多用されているが、ここで一つ一つ数値を出して説明すると長くなってしまうので、割愛させていただきたい。実際にそこで議論される変数(変化しうる量を表す文字)がどのくらい相関関係があるのかは、是非とも本書を読んでみてほしい。
さて、まず幸福度を下げる傾向が確認された変数としてあげられているのが、「性交渉体験がない」ということだった。特に男子学生においては、「童貞であること」が高幸福回答の確率を40%以上低めるというデータが出たという。
この結果に、「ああ」と納得してしまう人は多いだろう。さらに2人は、「彼氏・彼女の有無」や「性体験の有無」の要因を探るべく、さらにデータを開いていく。すると、有意な影響を与えるものの一つとして「中学・高校時代の部活動」があがった。
高校時代に運動系の部活に所属していたことが、その他の条件を一定としていたときに、男子学生の彼女有の確率を70%ほど上昇させ、さらに、童貞である確率も40%減少させるという結果になったのだ。これは女子の彼氏有の確率にも共通している特徴といえるという。
つまり、高校時代に運動部に所属していた男子たちは、幸福度の高い大学時代を送っている割合が高いことになるという。これは、しいて言えば、彼女がいて楽しい日々を送る「リア充」になる確率が高くなるということではないだろうか。
考えてみれば、高校時代、運動部だった人たちは大学でもモテていたように思うし、卒業した後も強いネットワークを築いている気がする。運動部リア充説”は本当だった!?
■自分の将来にポジティブになればリア充になれる?
運動部じゃなかったから自分は“非リア充”なんだ…と思っている人、まだそう結論づけるのは早い。
もう一つ、幸福度が高い人たちに共通する重要な「他の変数」を紹介しよう。
それは、「自分の将来に期待しているかどうか」だ。「10年後のあなたは現在よりも金銭・精神・肉体的に豊かな生活を送っていると思いますか?」という質問がそれにあたり、送っていると思うほど、現在を「幸せ」と感じる割合が高くなると2人は指摘している。
だから、例えば一般的に就職などが有利とささやかれる難関大学に通う学生は将来の期待・予想が明るいものになるので幸福度も上がるが、その難関大学を含め、どんな大学にいても自分の将来が暗いと思っていると、体感幸福度は低くなる。
“期待”があるからこそ、今が充実するというのは、いかにもシンプルな答えではないだろうか。今の生活の満足度が低い人は、自分の将来につながる行動をしてみると、幸福度が高まり、リア充への道が開ける可能性がある。
また、自分の将来への期待・予想がネガティブな男子の場合、彼女のいない確率も高めになるというデータもある。
恋人がいないからネガティブなのか。それとも、ネガティブだから恋人がいないのか。まさに「鶏が先か、卵が先か」の議論になるが、こうしてデータで見てみると、現状を打破するための糸口がつかめそうだ。
本書では、風俗などセックス産業をはじめ、生活保護をはじめとした社会的排除などの実態を、数字を用いてアレコレと解説している。統計データの読み方を知らなくても、2人が分かりやすく説明してくれるので、今まで見えなかった社会の姿が見えてくるようになるはず。
なにはともあれ、「自分は非リア充で将来はあまり明るくない…」と思い込むことが自分を非リアにしてしまう大きな要因だったとは。もう少し、自分に期待をしてみようかな。
(新刊JP編集部)
社会に出て働いている人であれば、仕事が上手くいっていたり、家族がいるというようなことも幸福感を生み出す要因になると考えられるが、では、「若者」はどうだろう。
『週刊SPA!』の人気連載「週刊チキーーダ!」を担当するエコノミストの飯田泰之さんと評論家の荻上チキさんコンビが執筆した『夜の経済学』(扶桑社/刊)では、様々な統計データを用いて、若者の幸福度や生活満足度をアップさせる要素は何かについて考察している。
2人は『第4章 「幸福な若者たち」って誰のこと?』の中で「ロジスティック回帰」という統計的回帰モデルを使って、幸福だと感じている大学生たちと、そうでないと感じている大学生を分け隔てるものを暴こうとしている。
本書には図表と数字データが多用されているが、ここで一つ一つ数値を出して説明すると長くなってしまうので、割愛させていただきたい。実際にそこで議論される変数(変化しうる量を表す文字)がどのくらい相関関係があるのかは、是非とも本書を読んでみてほしい。
さて、まず幸福度を下げる傾向が確認された変数としてあげられているのが、「性交渉体験がない」ということだった。特に男子学生においては、「童貞であること」が高幸福回答の確率を40%以上低めるというデータが出たという。
この結果に、「ああ」と納得してしまう人は多いだろう。さらに2人は、「彼氏・彼女の有無」や「性体験の有無」の要因を探るべく、さらにデータを開いていく。すると、有意な影響を与えるものの一つとして「中学・高校時代の部活動」があがった。
高校時代に運動系の部活に所属していたことが、その他の条件を一定としていたときに、男子学生の彼女有の確率を70%ほど上昇させ、さらに、童貞である確率も40%減少させるという結果になったのだ。これは女子の彼氏有の確率にも共通している特徴といえるという。
つまり、高校時代に運動部に所属していた男子たちは、幸福度の高い大学時代を送っている割合が高いことになるという。これは、しいて言えば、彼女がいて楽しい日々を送る「リア充」になる確率が高くなるということではないだろうか。
考えてみれば、高校時代、運動部だった人たちは大学でもモテていたように思うし、卒業した後も強いネットワークを築いている気がする。運動部リア充説”は本当だった!?
■自分の将来にポジティブになればリア充になれる?
運動部じゃなかったから自分は“非リア充”なんだ…と思っている人、まだそう結論づけるのは早い。
もう一つ、幸福度が高い人たちに共通する重要な「他の変数」を紹介しよう。
それは、「自分の将来に期待しているかどうか」だ。「10年後のあなたは現在よりも金銭・精神・肉体的に豊かな生活を送っていると思いますか?」という質問がそれにあたり、送っていると思うほど、現在を「幸せ」と感じる割合が高くなると2人は指摘している。
だから、例えば一般的に就職などが有利とささやかれる難関大学に通う学生は将来の期待・予想が明るいものになるので幸福度も上がるが、その難関大学を含め、どんな大学にいても自分の将来が暗いと思っていると、体感幸福度は低くなる。
“期待”があるからこそ、今が充実するというのは、いかにもシンプルな答えではないだろうか。今の生活の満足度が低い人は、自分の将来につながる行動をしてみると、幸福度が高まり、リア充への道が開ける可能性がある。
また、自分の将来への期待・予想がネガティブな男子の場合、彼女のいない確率も高めになるというデータもある。
恋人がいないからネガティブなのか。それとも、ネガティブだから恋人がいないのか。まさに「鶏が先か、卵が先か」の議論になるが、こうしてデータで見てみると、現状を打破するための糸口がつかめそうだ。
本書では、風俗などセックス産業をはじめ、生活保護をはじめとした社会的排除などの実態を、数字を用いてアレコレと解説している。統計データの読み方を知らなくても、2人が分かりやすく説明してくれるので、今まで見えなかった社会の姿が見えてくるようになるはず。
なにはともあれ、「自分は非リア充で将来はあまり明るくない…」と思い込むことが自分を非リアにしてしまう大きな要因だったとは。もう少し、自分に期待をしてみようかな。
(新刊JP編集部)