CLで完敗。チェルシーの試合運びに脱帽する内田篤人
欧州チャンピオンズリーグ(CL)、グループリーグ第3節。シャルケがチェルシーに0−3と完敗を喫した。スコアだけでなく、試合運もチェルシーが1枚上手だった。内田篤人は「セットプレイで点を取って、引いて守って、カウンターで追加点、という誰もがわかることを向こうは実際にやってきた」と、舌を巻いた。
シャルケが攻め込んだ時間帯もあったが、チェルシーは最終ラインの能力が高くゴールを割らせない。ボールポゼッションでもシャルケが55パーセントと上回ったが、歯が立たなかった。シャルケはフンテラール、ファルファン、ヘーガーと、主力攻撃陣を負傷で欠いていたが、そんなチームの苦しい現状が露呈した。
チェルシーの先制点は開始からわずかに5分後のことだった。左CKはゴール前のディフェンダー2人の間で一旦バウンドし、ファーサイドのフェルナンド・トーレスが頭で難なく押し込んだ。
「最初の失点がセットプレイだったことは不運だった」と、ケラー監督は振り返った。だが、トーレスをフリーにしただけでなく、ゴール前でボールが通過するのを見送るしかなかったシャルケディフェンスの甘さから生まれた失点だ。「でも、ゴール前にオレが入っている訳じゃないから......文句は言えない」と、内田は語る。
その後、アウェーで戦うチェルシーは文字通り引いてきた。引いた相手を崩すのは至難の技ではあるが、シャルケは果敢に攻め立てた。前半のシャルケには効果的な攻撃が多くボアテングのミドルシュートなど決定機もあったが、これを決めることができない。
「先に失点してしまうと、前半のうちに追いつかないと逆転は厳しくなる。でも本当に強いチームなら逆転しているはず。確かに相手も前半、よく耐えていたと思うけど」(内田)
はっきりとは言わないが、原因は自分たちにある、と見ているのだ。シャルケは攻めても攻めても、最終ラインとGKに跳ね返される。「チェルシーのようなチームには、何回かあったチャンスを決め切らないといけなかった」と、ケラー監督は悔やんだ。
後半に入ると「なんだかんだ時間が経ってしまって」(内田)、残された時間は少なくなる。チェルシーは無理せず自陣に引き、ホームの大声援を裏切れないシャルケはリスクを負って攻める。そんな中で生まれた後半24分と42分の追加点は、前線のアザールとトーレスが抜け出した、絵に描いたような高速カウンターで決められた。
「相手は選手交代も含めて、守りながら攻めるバランスが良かった。最後はとどめを刺してきた。守るだけとかにしてくれたら少しは良かったんだけど」と、内田は淡々と試合を振り返った。
試合後、ケラー監督は「試合内容と結果は一致しない」と強がった。確かにシャルケがボールを持ち攻める時間は長かったが、結果が結果だけに単なる強がりにしか聞こえない。その点では「まあ、何を言っても3−0だからね」と、内田のほうが潔(いさぎよ)かった。
この日の結果により、シャルケとチェルシーは勝ち点6で並んだが、チェルシーが得失点差で上回り首位にたった。モウリーニョ監督は、3戦を終えてグループリーグの力関係も把握し、冷静にこの先を見つめる。
「初戦はゴミのような試合だった(バーゼルにホームで敗れた)。それを修正する必要があったが、その後アウェーで2連勝した。今はグループリーグ突破に向けて良い位置につけているし、首位突破も考えることができる」
一方、内田は控えめにグループリーグの目標を口にしていた。
「粘って、最後に残れれば......」
グループリーグはこのままチェルシーが独走しそうな感がある。シャルケは現実的には2位での突破を目指して残り3試合を戦うことになる。
了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko