「15秒で13回平手打ち」バレー部顧問に擁護の声も 「優しくて熱心でいい先生」「こんなの当たり前」
浜松日体高校(静岡・浜松市)男子バレーボール部での体罰が、インターネット上の動画投稿で明らかになった。
約15秒間で13回の平手打ちという衝撃的な内容が各メディアで批判的に取り上げられているが、生徒やOBなど関係者と見られる人からは意外にも擁護の声も上がっている。
「バカヤロウ!ふざけんなテメェ!」怒鳴りながらぶつ
「【拡散希望】【RT希望】浜松日体高校男子バレー部の体罰の様子です。この体罰のせいで知り合いの子が心に大きな傷を負っています。また、この動画の時だけでなく頻繁に体罰が行われているようです。」
2013年9月16日、こんな文章とともに、写真・動画共有サービス「mobypicture」に動画が投稿された。
動画は約15秒間で、運動部の顧問らしき男が部員らしき男子学生の左頬を13回平手打ちしている。叩く音は体育館に鳴り響くほどで、その強さをうかがわせる。
顧問らしき男は、「バカヤロウ!ふざけんなテメェ!泣かすのかお前3年生を!オイ!やれよそうやって!」と怒鳴りながら男子を叩き、男子は何か言われるごとに大声で「ハイ!ハイ!」と返事していた。
この動画がYouTubeに転載されると、「ひどすぎ」「これは体罰じゃなくて暴力」として、ネット上で一気に広まった。
浜松日体高は9月17日に開いた会見で、動画に映っていたのは男子バレー部顧問の41歳の男性教諭と2年生の男子部員で、9月15日に岐阜県の高校との練習試合中に撮影された映像であること、他の2年生の部員にも3発平手打ちをしたことを明かし、「(平手打ちをしたことは)間違いない。本人(顧問教諭)も言ってます。気合を入れるために行ったと」と体罰があったことを認めた。その上で、「日常的な体罰はなかったと子供たちに聞いた」「部員側はプレーが良くないので、『気合を入れてくれた』というふうに思っていると」とした。この教諭は当面男子バレー部の顧問を外れるという。
なお、教諭は12年5月にも別の3年生部員1人に平手打ちしていた。この体罰については、13年2月に文部科学省が実施した体罰の実態調査で教諭本人が申告し、学校は口頭注意をしていたという。
とくダネ!小倉「50年前は日常茶飯事。体罰の効果わかってる」
見た限りではひどい体罰だと思えるが、意外にも擁護の声は根強い。
生徒やOB、学校関係者とみられるツイッターユーザーはこんな意見を投稿している。
「浜松日体高校のバレー部は、熱心な監督であそこまでやってくれる監督です。それを知っていて覚悟があって上へ目指したいと思って入部したんです」
「実際この人はめっちゃいい先生。優しくて熱心でめっちゃいい人。先生のこと何も知らねーくせに動画あっぷして暴力反対とかうぜーんだよ」
「監督いいこといってんじゃん!『三年生をまた負けさせる気か?』っていってない?そんな後輩いたら先生怒るにきまってんだろ!真剣にやってるわけだから!」
YouTubeのコメント欄にも「スポーツなめんな…。こんなの当たり前」「親も子供もビンタされたからってすぐ体罰ってw自分が悪い事したんだから普通じゃないの?」「叩かれた本人は 気合を入れてもらった と言ってるらしいね 体罰だと思ってないみたいよ?だったら別に騒ぐ必要ないんでないの?」など、いくつか擁護の意見が書き込まれている。
9月18日放送の「とくダネ!」(フジテレビ系)でもこの問題が取り上げられたが、司会の小倉智昭さんは「今回のケースはやりすぎ、いきすぎだと思う」としながらも、「今から50年前は日常茶飯事だった。(小倉さんの高校は)運動部のうち3分の1〜半分近くが日本一だった。ある意味(体罰の)効果というのをわかってるから、いまだに100%ダメだって言われると混乱する」と、「体罰は必要な場合もある」という考えを示した。
しかしこうした意見に対しては「オレだって部活やってたよ。でも本当にあれはムナクソわるい映像だった。先生のあの激の飛ばし方が『ふつう』なの?」「じゃあ体罰禁止の国の選手は、気合も入ってないし普通レベルにも達してないのか?」「体罰が強豪校をつくる的な発言をとくダネの小倉さんがしていたが、そんな考えの人がいるから、体罰がなくならないんですね」など反発の声が多数寄せられ、結果的に擁護によって体罰への世間の怒りが浮き彫りになっている。
ちなみにこの教諭は浜松日体高の男子バレー部顧問に1996年就任、2004年に静岡県高校選手権で初優勝、11年に東海高校総体で優勝、13年に県高校総体3位、東海高校総体8強という成績をおさめている。