苦しい展開だったが、横浜創学館が何とか逃げ切る 

横浜創学館・北村君

 台風が接近してきていて、週末の天候が心配されているが、この日は何とか試合が出来た。しかし、試合開始当初は、この日は天候は悪くないだろうという予報とは違って、突然の雨でジトジトした中でのプレーボールとなった。

それだからということでもないだろうが、横浜創学館の先発福田君は立ち上がりからもう一つ、制球に苦しんでいた。そこを突いた湘南学院が2四球で2死一二塁から5番片岡君の右前タイムリー打で先制する。本来、制球のいいはずの福田君としては極めて不本意な立ち上がりとなった。

しかしその裏、横浜創学館は2死走者なしから岡崎君が遊撃手横をゴロで破ると、打球はそのまま左中間も破っていって、左翼98m中堅122mの左中間の一番深いところに到達して、それを見た打者走者はそのまま三塁ベースを蹴って本塁を陥れて同点とした。打球も強かったし、それが雨を含んだ人工芝に乗ってさらに加速して行ったというところもあったかも知れないが、判断もよく見事なランニングホームランだった。

 こうして振り出しに戻った試合は、次の得点で試合の流れが支配されていくだろうなという感じで進んでいった。2回以降は福田君も、自分自身の投球リズムを徐々に取り戻してきつつあった。また、湘南学院の渡会君もしっかりと自分の投球が出来ており、お互いが持ち味を出した投手戦という様相になってきた。

 そんな展開で中盤に進んで4回、横浜創学館は2つの四球などで2死一三塁として、ここで福田君自らが中前へタイムリー打を放って突き放した。さらに6回には、1死から2本の二塁打が出ながら走塁の判断モスもあって得点にならなかった横浜創学館だったが、1死二三塁という場面で8番田中君が中犠飛を放ち貴重な追加点を挙げた。仲間のミスを帳消しにした主将の価値ある一打でもあった。

 

後半は好投した福田君(横浜創学館)

 これに対して、追いかけたい湘南学院は7回に安打で出た中谷君をバントと盗塁で三塁へ進めると、5番片岡君が巧みに一塁線にセーフティースクイズを決めて、1点差としたものの、結局反撃もここまでだった。何とか横浜創学館が逃げ切った。

いささかじれったい展開といえばそうで、もう少し得点が奪えたかなという歯がゆい展開だった横浜創学館である。それでも、何とか逃げ切れたことで森田誠一監督は安堵していた。「苦しい展開になることは、最初から予想していましたから…。ただ、結果的には福田様々という試合になりましたね。立ち上がりに、あんなに四球を出す子じゃないんで、あまり調子が良くなかったようですけれどもね」と、福田投手を称えた。

そして、いくらか歯がゆい思い思いをさせられた攻撃陣に対しては、「ドデカいのを打つ選手がいたりという派手さはないんですけれども、何とかつなげて得点できました。ただ、チームとしてはこうして試合をしていくことで成長していかれるし、面白いチームになっていくのではないかなという感じはしています」と、例年のチームスタイルとは少し形が違うようだが、チームとしての手ごたえと伸びシロは感じているようだった。

 あと1点及ばなかった湘南学院は、渡会君がある程度安定しているだけに、細かい部分で攻守に精度を上げていけば、もうワンランク上に上がっていかれるチームとなるだろう。横須賀地区の学校としては、最も部員も多く強化への体制も敷かれているところである。一冬越えて春までに、本萱昌義監督が、どこまで精度を上げたチームに仕上げてくるのか楽しみでもある。

(文=手束 仁)