鳴門vs修徳 甲子園通算6度目の歓喜!「サヨナラの鳴門」ここにあり!
鳴門は2回裏に先頭打者の伊勢 隼人一塁手(3年)が松本 高徳三塁手(3年)の満塁アーチを思わせるかのような弾道で高校通算25号・大会第27号先制アーチをかけると、一死三塁からその松本が中越適時二塁打で計2点。 さらに3回には一死一、二塁から伊勢があわや二打席連続アーチのバックスクリーン前フェンス直撃の二点二塁打。4回には松本の二打席連続二塁打を足がかりに一死三塁から9番・鳴川 宗志左翼手(2年)の右前打で5点目。
しかし修徳は中盤からジリジリと反撃する。4回表に3番・飯野 周太中堅手(3年・主将)、6番・酒井 良樹二塁手が変化球を狙い打ち2点を返すと、5回以降は板東 湧梧、日下 大輝の鳴門3年生バッテリーによるストレート中心の配球が高めに浮いたところを着々と打ち返す姿勢で1点ずつ加点。 7回裏には8番・根本 将吾一塁手(3年)のテキサス中前打と板東の連続暴投で得た一死三塁の場面で、3回途中から好リリーフを続けていた遊佐 和輝(3年)の二塁ゴロが野選を誘い、ついに4点差を追い付いたのである。
打ち合いが続いた中盤まで。しかし終盤は、鳴門・板東、修徳・遊佐の両右腕による見ごたえある粘りあいへと試合展開が変化した。自己最速140キロをはじめ、糸を引くような130キロ台後半ストレートが外角低めに決まりはじめた板東。一方、スライダーを織り交ぜ、打たせてとるピッチングを貫く遊佐。かくして試合は今大会2度目の延長へと突入していく。
10回裏・鳴門は状況を打開すべく初球攻撃に打って出た。先頭の伊勢が左中間を破る二塁打。自打球で痛む右ひざをもろともせず稲岡 賢太右翼手(3年)が投手と一塁手の間を狙った犠打は内野安打となり、無死一、三塁。この時点で修徳に残されたのは6番・日下を敬遠し、一か八かに賭ける選択肢しか残っていなかった。 そして修徳の希望を打ち砕いたのも初球。松本は真ん中に入ってくる変化球を迷わず振りぬきレフト線へ。歓喜と落胆がコントラストを描く中、2時間21分の熱戦は幕を閉じた。
ちなみに鳴門は春15勝7敗・夏8勝7敗。通算23勝14敗中、実に春4度、夏2度の通算6度がサヨナラ勝ちとなった。うち現3年生が経験したサヨナラ勝ちは春2度に続く通算3度目。これも特筆すべきデータだろう。 修徳打線の素晴らしい「好球必打」。それを同点で食い止め、終盤の驚異的な強さにつなげて、初出場で準優勝した1950(昭和25年)第32回大会以来、63年ぶりの夏2勝目をあげた鳴門。そしてフェアな応援に徹した応援団。この試合では両校への心からの敬意を表しつつ、「サヨナラの鳴門」の称号を彼らに与えたいと思う。
(文=寺下 友徳)