ジジイの説教に泣いてもいいですか/坂口 孝則
感動するコスト削減は、一人ひとりの勇気からはじまる。

調達担当者はなぜ、コスト削減をするのでしょうか。もちろん、会社から定められた目標があるからです。ただ、なんのための目標なのでしょうか。それは、組織のため、安価な製品を市場に提供するためです。では、なぜ組織のため、製品のために行動する必要があるのでしょうか。それは、自分が働くうえでその組織の理念に共鳴したからです。

いま、なぜそこで働いているのか。この根源的な理由を失念しないほうがいいと思うのです。

でもね、そう建前ばかり信じることはできませんよね。「泥臭い仕事ばかりだ」「社内の地位が低い」「上司が目標ばかり求める」「ときには人格も否定されてしまう」など、現実はうまくゆかないことばかりだからです。

最近は、多くの人がウツ状態になってしまうといいます。しかも、それは人間関係に起因するものです。上司が誰かを叱るとき、その相手が「か弱くなった」ことはありえます。ただ、上司の多くは、部下の成長を祈っていることがほとんどです。ただ、言い方が強いばかりに、部下は必要以上に強く受け止めてしまうのですね。それが「ときには人格も否定されてしまう」という感想につながっていきます。

くだらないと思うかもしれませんが、先日、ある方からお聞きした話を書きます。

その上司と部下は、調達部門で長く仕事を続けてきた二人でした。その上司が、ご定年で会社を辞することになったときのことです。その上司はそれまで部下にあたり散らしては、嫌われていた人だったようです。ある部下(この話の登場人物です)は、上司の定年にあわせて、不平不満をつらねた手紙を送ってやろう、と画策しました。これまで苦しめやがって、馬鹿野郎、というわけですね。

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