中村憲剛と高萩洋次郎は、決定機の演出回数の多さが群を抜いている。中村が5得点、高萩は4得点とそれぞれゴールを記録しながら、アシスト数も中村がリーグ1位の13本、高萩がリーグ2位の12本と、その数字だけでも十分に評価できる(データ提供/データスタジアム株式会社)。加えて、ふたりともゲームをコントロールする力があって、意外性のあるプレイが光っていた。

 ともあれ、フロンターレの“顔”である中村の活躍は予想どおりだったけれども、高萩の飛躍はちょっとしたサプライズだった。これまでは好不調の波のある選手だと思っていたが、昨季の終盤から“芯”が入ったというか、ピッチ上での風格が増した。シーズンを通してハイパフォーマンスで奮闘し、優勝を決めたセレッソ大阪戦で先制ゴールを決めるなど、いい仕事をする選手になったと思う。

FW
佐藤寿人(サンフレッチェ広島)
豊田陽平(サガン鳥栖)
赤嶺真吾(ベガルタ仙台)

 9年連続ふた桁ゴールを記録し、得点王に輝いた佐藤寿人は文句なし。柏木陽介や槙野智章、ストヤノフに李忠成ら、佐藤を生かしてくれた選手がどんどんチームからいなくなり、今季は監督も代わって、自らが点を決めるための環境が目まぐるしく変わる中、コンスタントに結果を出しているのは、本当に立派。それでいて今季は、ゴール数を伸ばしているのだから、さらにすごい。周りの選手が佐藤の持ち味を生かす術も素晴らしかったが、佐藤自身、周囲に生かされる術というものをより洗練させてきた結果だと思う。

 豊田陽平には、正直かなり驚かされた。鳥栖の攻撃パターンにおいて、彼がすごくマッチした選手だったかもしれないが、それでも普通の選手であれば、12得点を記録するぐらいが精一杯だと思う。それが、豊田は19ゴールも挙げている。それも、対戦相手が「豊田さえ抑えておけばいい」というスタンスで臨んでくる状況での結果なのだから、そのすごさがより際立つ。動き出しやクロスへの入り方、ファーストタッチからシュートまでのイメージにしても、相手より先にいろいろなことを考えていたから、それだけの数字が残せたのだろう。

 赤嶺真吾は、昨季ふた桁ゴール(14得点)を記録したことが自信になって、今季の結果(14得点)につながったと思う。新加入のウイルソンとのコンビネーションも良かった。入ったばかりの選手と呼吸を合わせるのは、なかなか難しいものだが、流れを作る動き出しなど、非常にスムーズだった。赤嶺のそうした柔軟な対応や、パートナーの動きを学ぶ意識というものは、とても好感が持てる。

 あと、次点でガンバ大阪のレアンドロを挙げておきたい。出場15試合で14ゴールは驚異的。フルシーズンプレイしていれば、ガンバのJ2降格は……と考えてしまうのは、自分だけではないだろう。

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