金融緩和の本質/石山 喜章
お金を刷ってばらまくだけでは景気は回復しません。対応するニーズ(需要)を創ることができる新しい産業が必要です。

選挙に突入したことで、各党が様々な主張をしていますが「金融緩和」の本質とは何でしょうか?

前回の記事でも書いたことですが、お金を幾ら刷っても「需要」がなければ経済は発展しません。

「金融緩和」やQE3とは、シンプルに言えば、沢山お金を刷って配ることです。

中央銀行がお金を刷って配っても、そこにニーズや需要がなければお金が消費に回ることはありません。政策の争点としては消費税とかTPPとかエネルギー問題も大切ですが、先進国が抱える共通の課題は、新しい雇用(産業)を生み出せないことです。

マズローの欲求6段階説を観れば分かるように、ニーズ(需要)も進化しています。

下層の生理的欲求、安全安心欲求、所属欲求は先進国では(一部の方を除いて)満たされており、いまは認定欲求と自己実現、自己超越へと消費者のニーズもシフトしています。

認定欲求を根本的には満たさないものの、携帯ゲームやソーシャルネットワークが流行り、自己実現を100%満たさないものの成功哲学やハウツー本が売れ、意識の進化を謳う自己超越の産業にも少ないながら世間の関心が移る中、これらの欲求(需要)をしっかりと満たすことのできるサービスや商品はまだまだ多くありません。

言うなればこの市場はブルーオーシャンと観ることができます。

下層3層に訴えるモノ商品はあまり売れなくなり、モノづくりでは中国・韓国に抜かれ、先進国のニーズに応える人づくりで産業を興さなければ、日本経済が再生することはないでしょう。

資本主義社会では効率化が求められる為、IT化、ロボット化により、単純作業に従事する人間は益々必要とされない労働力として見なされるようになります。

人間にしかできない仕事や産業を生み出さなければ、金融緩和でお金を刷っても景気が活性化することはありません。

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