TVアナ「フィリピンはわが国固有の領土」…ネットで絶賛=中国
中国中央電視台(中国中央テレビ、CCTV)が7日に放送した時事解説番組「24小時(24時間)」で、キャスターを務めた女性アナウンサーが誤って「フィリピンは中国固有の領土」と述べた。アナウンサーは、中国版ツイッターの「微博」で謝罪したが、フォロワーからは「正しい発言だ」とする書き込みが相次いだ。
“言い間違い”をしたのはCCTVの和佳アナウンサー。「24小時」は、同局の看板番組のひとつであり、注目度も高い。フィリピンとの間で領有権をめぐる対立が激化した黄岩島(スカボロ礁)の問題で、黄岩島とフィリピンの地名を取り違え、「フィリピンは争いの余地がない中国固有の領土」と述べた。
和アナウンサーは微博で「起きてはならないミス」、「心から謝罪します」、「キャスターの職務は、1分1秒に巨大な責任が伴います。今後はこれまで以上に努力し、これまで以上に真剣に務めます。どうか、お許しいただき、ご理解をいただきたい」などと謝罪した。
しかし、寄せられた書き込みの大部分は、「フィリピンは中国領」発言を称賛するものだった。
「正しい発言だ」、「黄岩島はフィリピン領ということで、いいじゃないか。フィリピンが中国領なんだから。問題なし!」、「フィリピンも国をあげて、中国の特別行政区にしてほしいと申請するぜ」などと書き込みが続いた。 面白がって書き込んだとみられる人も多いが「あなたはうっかりして、われわれが思っていても口にできない本当のことを言ってくれた。皆があなたを理解し、支持しています」と、冗談とも本気とも判断しかねる意見もある。
「きちんと謝罪した。本音が出たと受け取る必要はない」などとする“常識的”な書き込みもあるが、多くはない。
中国では、「昔と比べて、アナウンサーの技量が低下した」との批判がある。和アナウンサーのミスについても「朝鮮(北朝鮮)のアナウンサーから学ばねばならない場合もある」との意見が寄せられた。
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◆解説◆ 中国では、アナウンサーが「政治的に微妙な問題」にかかわるミスをしたため、極めて厳しい処分が科せられた場合がある。天津市のラジオ局関係者によると、「チベットの首都、ラサ市」と放送して、現場から「永久追放」されたアナウンサーがいる。
中国では、省や少数民族自治区の中心都市を「首府」と呼ぶ。国の中央機関がある「首都」とは別の意味だ。処分されたアナウンサーは「チベットの首府」と言うべきところを「首都」と言ってしまった。単純ミスであることは明らかだったが、厳しい処罰の対象になった。(編集担当:如月隼人)