今年13回目の開催となる、日本最大級の環境展示会が12月15日(木)〜17日(土)の3日間、東京ビッグサイトで催されました。


環境に関わるあらゆる分野のモノやコトが揃うこの展示会において、大人も子供も楽しみにしているメニューがエコカー体験試乗。各メーカーの担当者が運転するクルマに同乗し、ビッグサイト周辺を一回りできるのがこのイベントの目玉なんです。今年はトヨタFCHV-adv、三菱i MiEVおよびi MiEV(G)、MINICAB MiEV、日産リーフ、マツダ・デミオ・13-スカイアクティブ、三菱RVR、トヨタFCHV-BUSが用意されていました。バス好きの私としては、当然燃料電池バスは外せません。早速受付カウンターで試乗チケットをゲット!自分で運転できないのがちょっと残念ですが。


 


EVに乗ると、聞こえる音はモーター音とロードノイズや風切り音だけなのでちっとも面白くないのですが、燃料電池車は違いました。燃料電池が発する音が聞こえるので、動力車に乗っている感覚が多少なりとも味わえます。それでも、ディーゼルエンジンに慣れた耳には格段に音が小さく振動もないと言っていいので、乗客の動きも少なく(動くとシートにこすれる音が聞こえるし、空気が動く音まで聞こえるんじゃないかという気がすると本能的に抑止力が働くのかもしれません)、いきおい、会話の声も囁くように小さくなってしまいます。みな内緒話みたいな小声なのだけど、静かすぎて全員に聞こえてしまうのですが。


初代プリウスの発売日に試乗した時に、セールス氏と二人の空間が気恥ずかしかったことや、アイドリングストップ・バスが導入された当初、信号や停留所でエンジンが止まるたびにおばちゃんたちの会話も止まる光景になにやらむずむずしたことを思い出します。


雑音が聞こえない、振動もないとなると本能で何かを感じたくなるものなのか、走行時の前後左右の些細なGが気になり始め、運転操作の雑さや丁寧さが何やら気になります。人間の感覚とは不思議なものですね。


この意識が運転手にも伝わるのでしょう、後で運転手に聞いたところ、やはり操作には気を遣うとのことでした。


アクセルオフ時には回生ブレーキが作動しますが、ペダルを一気に戻した場合と、じわりともどした場合で回生の利きが異なるため、できるだけじわりと戻した方がぎくしゃくせず、乗客に快適な運転になるそうです。またディーゼルエンジンのエンジンブレーキより回生ブレーキの方が強く利くため、うまく操作するとフットブレーキを使わずともかなり減速できるとのことでした。


そんなバスを細かく紹介いたしましよう。



顔つきは日野セレガですが、車体は路線バスのブルーリボン・シティのもの。


羽田空港行きのリムジンバス路線で実証試験を行うために作られた個体のため、観光バス顔にされているのです。カラーリングからもそのことがうかがえます。


分厚い屋根には、35MPaに加圧された高圧水素タンクが格納されています。エンジンコンパートメントにはFCスタックとニッケル水素バッテリーが収められています。



車内後方を見てみましょう。空港リムジン仕様のため前方に貨物スペースがあります。このため座席数は25と少ないんですね。



車内前方。左半分、ドアからのアプローチ側がセレガ、右半分の運転席がブルーリボン・シティのもの。「ハイブリッド」です。



方向幕操作盤、案内放送スイッチは路線仕様そのもの。ディーゼルエンジン車との違いと言えば、メーターパネルに水素タンクのプレッシャーゲージが備わるだけです。エアーブレーキ作動レバーは自体は同じものですが、エアーブレーキの代わりに備わる回生ブレーキが作動する点が異なります。


是非このバスを運転してみたいものですが、残念ながら特別車両のためプレス試乗会でも運転はできないそうです。


(Autanacar)



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