【寺野典子コラム】ドイツのサムライたち──内田、長谷部
「もがいて。もがいて、もがけばいい」
火曜日に取材で会った際、内田へのメッセージを私に託した長谷部とて、土曜日の試合で大敗し、途中で交代を命じられていた。きっと彼自身も今、もがいているに違いない。
「たとえ、ぶつかって砕けたとしても、ぶつかったということに大きな意味がある」
以前、そう語っていたのは中村俊輔。彼は“気づく”ことを“察知力”と評した。この1年海外へ渡った選手の多くが、「ある種の“鈍感力”や“動じない力”が海外では必要だ」と話している。しかし、ぶつかった事実を消化し、肥やしにするためには、“察知力”が求められるに違いない。
ボルシアMG戦の勝利で4位から2位へと順位を上げたシャルケ。
「今の順位はそれほど重要じゃない。最終節が終わったときに、どこにいるかが大事。それは鹿島時代から叩き込まれましたから」
内田がさらりと語っていた。それはチームの成績のことだけでなく、選手個人のことも指すのかもしれない。そう考えると、彼らの悔しい表情を取材ノートに刻めたことをうれしくも感じる。【了】
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