ノルウェイの森<br />(C)2010「ノルウェイの森」 村上春樹/アスミック・エース、フジテレビジョン
 1987年に刊行された、村上春樹の小説『ノルウェイの森』。国内小説累計発行部数歴代第1位となる1000万部を突破し、36言語に翻訳され世界に愛され続ける現代文学の最高峰が20年以上の時を経て、トラン・アン・ユン監督により昨年12月に映画化。そして、公開から約半年が経ち、6月22日にブルーレイ・DVDが発売されました。

新たな『ノルウェイの森』の誕生

 『ノルウェイの森』は。自殺した親友の恋人だった直子と大学の同級生・緑との間で揺れ動く主人公ワタナベの青春のもがきを描いた究極の恋愛物語。キャストには主人公の「ワタナベ」に作品ごとに印象を変える演技派俳優・松山ケンイチ、ワタナベが恋に落ちる女性「直子」に圧倒的な演技力で国際映画祭の常連女優・菊地凛子、新たにワタナベの前に現れる女性「緑」に本作が映画デヴューとなる期待のミューズ・水原希子らを迎え、原作のイメージは受け継ぎながらも新しい『ノルウェイの森』を誕生させています。

この曲を聴くと深い森の中で迷っているような気分になる

 主題歌は、世界で配給される日本映画では初のザ・ビートルズの原盤の使用が許可された、ザ・ビートルズ「ノルウェーの森」(1965年発売、原題「NORWEGIAN WOOD (This Bird Has Flown)」)。劇中では、ワタナベが京都の療養所に入院した直子に会いに行った際、直子の部屋の同居人・レイカ(霧島れいか)がギターによる弾き語りを披露し、直子は「この曲を聴くと深い森の中で迷っているような気分になるの。どうしてだかわからないけど。一人ぼっちで、寒くて、暗くて、誰も助けに来てくれなくて…。でも、本当に一番好きな曲なのよ。」と語ります。

松山ケンイチが格好良すぎる

 6月11日から19日まで開催された上海国際映画祭では、クロージングデイの19日に同作が中国本土でプレミア上映され、約1,000席の上映チケットは即完売。トラン・アン・ユン監督と松山ケンイチが参加した記者会見には100を超える現地マスコミが殺到し、上映時の舞台挨拶で松山ケンイチが上海語で挨拶をすると、現地のファンからの歓声が止まず、「中国ではワタナベがあまり格好良くないイメージなのに、松山さんは格好良すぎる」と司会者がコメントするなど、加熱する人気ぶりが伺えました。

心の中に永遠に続く美しい森

 本作には愛と性、生と死、強さと優しさ、刹那と永遠など様々な要素が溢れています。人が人を愛することの美しさと素晴らしさの一方で、生きていく中で確実に存在する脆さと醜さ。愛する人を失い、その悲しみを癒すことが出来ずとも、また誰かを愛して生きていく登場人物たち。深い森に生い茂る様々な感情が、美しくも生々しい映像と音楽によって紡がれ、観る人の心の中に新しい種を残してくれることでしょう。

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