自由報道協会はきょう(4月6日)、元佐賀大学学長の上原春男氏の共同インタビューを主催した。上原氏は福島第一原子力発電所3号炉(もしくは5 号炉)の設計にかかわり、外部循環式冷却装置の開発者でもある。

 震災直後から複数回にわたり、菅直人首相はじめ政府、統合本部、東京電力などから助言を求められている。事故後メディアの前に姿を現すのは今回が初めてであった。

 その上原氏は、放射能汚染水を海洋に流し続けるという決定を下したばかりの政府に対して、繰り返し嘆いた。

「なんで、あんなことをしたのか。海洋に放射能汚染水を流すなんて信じられませんよ。誰がそんなバカなことを決めたのか。これで日本は世界中を敵に回した。恥ずかしい。せっかく信頼のある国だったのに、本当になんてことをしてくれたんだ」

 いまや政府と東京電力による愚かな決定の数々は、日本を「海洋汚染テロ国家」に仕立て上げようとしている。

 昼前、東京電力本社にやってきた全漁連の代表者は、その東電幹部に抗議文を手渡した。

〈4月4日 政府は福島第一原発敷地内の放射能汚染水を、漁業関係者に何の相談もなく大量に放水することを決定し実行するという暴挙に出た――〉

 原子炉の温度を下げて、再臨界を防ぐには冷却しかない。よって、緊急対応的な海水(現在は真水)などの注入自体は決して間違いではない。問題はその冷却水の行き場である。

 冒頭の上原氏のような冷却交換システムならば、当然に海を汚すことはない。だが、この4月4日に政府・東電が採用したのは、世界中が驚愕した前代未聞の冷却方式であった。

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