東洋経済(2011/01/08)に連載されている佐藤優氏の「知の技法出世の作法」に、経済学者、中谷巌氏が佐藤氏に語った言葉が紹介されていました。



以下のようなものです。

"
経済学の基本的な知識は、頭の良い人ならば2〜3年で習得することができる。ひとたび努力して知識を身に付けると、経済現象をすべて説明できると
勘違いしてしまう。

近代経済学の前提となる、完全情報を持っている合理的人間というのは虚構だ。
人間が合理性以外の理由で行動することはいくらでもある。

だから私は、各民族の文化とか伝統に目を向けるようになった。


マーケティングもまた、基本的には

「合理的な人間」「合理的な判断・行動」

を前提とするアプローチが主流を占めてきました。

しかし、現実の消費者行動はそうではなく、
従来の合理性偏重のマーケティングにも限界があることが、
近年はより明確になってきています。


「合理性」だけでなく、「非合理性」をも併せ持つ人間を
よりよく理解するためには、2方向からのアプローチが必要です。

ひとつは、人間の内面、すなわち心理の原理原則を掘り下げること。
それが人間行動にどのような影響を与えるのかを理解することです。

すなわち内側から外側へという方向。

もう一つは、中谷氏の指摘する、文化、伝統といった人間の外側にある
環境についての掘り下げであり、それらが人間の心理・行動にどのように
影響を与えるのかを理解すること。

外側から内側へのアプローチ。


2011年から本格展開する「マーケティング心理学」では、
「心理学」に軸足を置くので、内側から外側へのアプローチが
メインにはなりますが、人間をよりよく理解するためには、
外側から内側へのアプローチも取り込みます。

学問分野でいえば、社会学や文化人類学、民俗学なども
カバーするということです。

2方向のアプローチを融合することによって、
人間(の心理・行動)に対する理解は着実に深まるのだと、
私は考えています。
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