再三のNB化への転換で利益増をもくろむライトオン、それに対し、「餅は餅屋」と仕入れに徹底し、SPAとの差別化を測るしまむら。この両社の違いは何を物語る?

アパレル小売業界は、デフレ、国内外のファストファッション化の流れの中、販売不振にあえぎ、再三の戦略見直しを迫られている。

中でも象徴的なのがライトオン。2010年8月期決算を見てみると、大幅な減収減益に終わっている。売上は869億7500万円(前期比13・5%減)、経常利益は12億1300万円(同55・8%減)
当期損失は4億7200万円となっている。

そしてライトオンはこの結果に対し、またまたNBへの回帰戦略を打ち出した。大量生産による利益率の向上を狙って実施したPB化戦略だが、大量生産ゆえのニーズ多様化との逆行、そしてさらなる販売不振による在庫過多などの問題が表面化し、もう何度目かわからない回数の戦略変換だ。

業界では有名だが、ライトオンはPBへの集中投下(SPA化)とNB重視の戦略を何度も繰り返している。ものづくりノウハウが十分とは言えない安易なPB化の推進は、一瞬の利益率の改善を生むことはあるが、利益率重視の大量生産、大量陳列が、多様化するユーザーニーズに応えられるとは思えないし、一過性のSPA戦略ととったところで、ユニクロや無印にかなうわけはない。ヒートテックが一夜にして生まれるはずがないのだ。

こうした流れはセレクトショップでも同様だ。デフレの波に打ち勝つことができず、安易なローコスト商品を中心とした品揃えばかりのセレクトショップは完全に個性を失い、いつのまにかライバルが数多くのファストファッションになってしまった。

一方、デフレの象徴と揶揄されることもある「しまむら」は相変わらずの好調ぶりを示している。

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