9月17日にWIRED VISIONに非常に示唆に富んだ記事が掲載された。
 <統計よりも「1人のストーリー」が有効な理由>

 http://wiredvision.jp/news/201009/2010091722.html

 記事は<チリの鉱山で起きた事故は、人々の高い関心をひきつけている。一方で、パキスタンの洪水は、大規模な被害であるにもかかわらず十分な関心が喚起されていない。その背景についての考察>という書き出しで始まる。原題は「The Identifiable Victim Bias」。直訳すれば、「個人の被害者バイアス」とでもいうタイトルになるだろうか。<被害者が「特定可能な個人」である場合に、そうでない場合と比べて、はるかに強い反応を人々が見せる傾向にあることを示唆する>という「身元の分かる被害者効果」(identifiable victim effect)について述べられたものだ。

 記事には次のような例示がなされている。
 <マリ共和国のRokiaという名の1人の飢えた子どもの写真を見せられた人々は、驚くほどの気前の良さを示した。これに対し、アフリカ全土の飢餓に関する統計データのリストを見せられた2つ目のグループは、申し出た寄付金の平均額が50%低かった>
 <われわれは、ひとりの子供が井戸に落ちたら心配で目を離せないが、清浄な水が無いことで毎年何百万人もの人が死ぬことには関心を持たない>
 そして、<統計データの難点は、われわれの道義的感情に訴えかけないことだという。厳しい現実を数字で見せられても、われわれの心は動かない。人間の心は、そこまで規模の大きな苦しみを理解することができないのだ>と心理学者が解説している。


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