パラグアイ戦について、「PKは時の運」とは片付けられない<br>(photo by Tsutomu KISHIMOTO)

写真拡大


担当M(以下M):ワールドカップが終わった後に岡田武史監督とはお話しになりましたか?

ラモス(以下R):お疲れさま、と帰国から一週間ぐらい経つのを待って連絡しましたよ。メディアを避けてどこかに行っているようでした。ものすごいプレッシャーで大変だったと思います。

M:また監督としてどこかで指揮をお執りになるかもしれません。

R:彼はどこで監督をやっても成功できますよ。それに日本サッカー協会の理事としての活躍も今後期待したいところです。

M:岡田監督がワールドカップで見せたサッカーが日本サッカーの方向性になるのでしょうか。

R:僕はそれはよくないと思いますね。だって結局日本の問題点は解決しなかったんですよ。確かにベスト16に進出したかもしれないけど、どうやってゴールを奪うかという課題は残ったままになってしまった。岡田監督はずっとその問題に取り組んできたけど、大会直前に解決できなかったという現状を踏まえて現実路線を取ったのだと思います。初戦のカメルーン戦で相手がじっくり構えてくれたことも幸いだったし、オランダもとにかく勝ち点を挙げればいいという戦いをしてくれたことがよかった。デンマーク戦ではトマソンが本調子ではなかったことが大きな勝因になったとも思います。

M:それでもベスト16に進出したという結果は残りました。

R:だけどそのパラグアイ戦でゴールを奪えなかった。ベスト8進出の大きなチャンスだったのに残念でした。ブラジルやドイツやスペインと対戦したわけじゃなかったんですから。日本の問題がそこで出たんですよ。それなのに、パラグアイ戦を0-0の引き分けただとか、PKは時の運だとかで片づけてしまっては、進歩なんてとても考えられない。もっと現実に目を向けないと日本サッカーは停滞してしまいますよ。得点を奪うためにはどうしなければならないか、また考えなければなりません。

M:次回のブラジルワールドカップではベスト8に進出できるかもしれない、と期待も膨らんでいますからね。

R:それがおかしいんです。他の国を見てください。ベスト8だったチームが次にベスト4に入れますか? 前回優勝したチームがグループリーグで消えていくのがワールドカップなんです。日本は次の大会もすんなり出て、南アフリカ大会よりもいい成績を残せると考えていたら大きな間違い。また一歩ずつ前に進んでいくしかないんです。もっと謙虚にね。