McLaren Automotive

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軽く1000ps超えのミドシップRWDスーパーカー。ちょっと前までなら、いや今もなお、とてもじゃないけれどフツウにドライブできる代物だとは、車好きほど思うまい。

【画像】マクラーレンW1の実力を一般道とサーキットで試す!(写真18点)

ハイブリッドパワートレーンの採用、つまりエンジンにバッテリーと電気モーターを組み合わせることで1000psの世界の体験はずいぶんと身近になった。それゆえそのパフォーマンスを誰もが安全に楽しめるよう、1000ps級を誇るスーパースポーツにはおしなべて前輪をモーター駆動とするAWDシステムが採用されている。そうでなければ危なっかしくてロードカーとして成立し難いからだ。その方が安全に速く、そして驚きの乗り味を容易に出せるからだ。フェラーリ849テスタロッサ、同F80、ランボルギーニ・レヴエルト&テメラリオ、アストンマーティン・ヴァルハラ、それぞれ個性はあるけれどeAWDであり、システム構成の考え方は似通っている。

ところがそこに一石を投じたブランドがあった。

英国の雄、マクラーレンである。

24年秋に発表されたW1は、なんと1275psの最高システム出力を誇る、V8+モーター+バッテリーのリアミド、後輪駆動スーパーカーだった。

マクラーレンといえばカーボンモノコックボディとアクティヴシャシー、強力なV8パワートレーンで硬派な車の運転好きを魅了してきた。だから、狂気の沙汰というべきスペックのリア駆動モデルもその発展系として見るべきだ。発表時にはなんとかそう理解したつもりだった。とはいえ実際にはなかなか信じ難いことでもあった。だってそうだろう。後輪片側にかのマクラーレンF1のV12最高出力627ps以上の負担を強いている、だなんて…

その真実を探るべく、イタリアはムジェッロに向かった。お値段4億円オーバー、世界限定399台、完売御礼のスーパーカーを、いくら限られたメディアが相手とはいえ公道とサーキットで試させようというのだから、経営から現場までガラリとスタッフの変わった新生マクラーレンの本気が伺える。

変わらなかったのはもちろん、開発陣だった。ムジェロのピットにはW1を市販レベルにまで仕上げたスタッフたちが出揃っていた。さらに主役のW1は2年前に見た展示用のプロトタイプ(微細に形が違う)とベアシャシー、その後ろには過去の”1”モデル、つまりP1とF1 が並んでいる。

ベアシャシーのフロントアクスル周りを仔細に眺めていると、開発スタッフとプロダクトマネージャーが近寄ってきて、そこがW1の最も重要なパートのひとつであると教えてくれた。どうしてW1がRWDにこだわり、しかも大出力エンジンを搭載できたのか。

ひとつにはやはり軽量化のためであった。フロントアクスルにモーターを積むと、バッテリーの増強分も含めW1より200kgは重くなる。それをマクラーレンは嫌った。ハイブリッドは時代の要請であるから仕方ないにせよ、できるだけ重量は抑えたい。そしてもうひとつは自由でクリアなハンドリングの実現である。

そうなるとフロントモーターに代わる”何か”が必要になってくる。じゃないと素人でも安心してドライブできる車にはならない。そこでマクラーレンはもうひとつの”伝家の宝刀”を徹底的にこだわって磨き上げることにした。

空力である。マクラーレンはW1を初のフルグランドエフェクト・ロードカーであると宣言している。つまり空気の流れを味方につけることで、オーバー1000psを手懐けようとした。”神の手”を借りたというわけだ。

その秘密が実はベアシャシーのフロントアクスル部分にあった。これまでのモデルと明らかに違う部分が2箇所ある。ひとつはプッシュロッド式、もうひとつは3Dプリンティングアームの採用だ。これらはいずれもタイヤ&ホイールとブレーキ、そしてサスペンション部分を抜ける風をコントロールするために必須であった。それが証拠にリアにはいずれも採用されていない。