21日のチャンピオンズ・リーグ(CL)決勝トーナメント1回戦で、ポルトと対戦したチェルシーは1−1で引き分けた。負傷者を出しながら、アウェイゴールを奪っての引き分けに、試合後のジョゼ・モウリーニョ監督は、安堵の表情を浮かべた。

 モウリーニョにとって、2003-04シーズンに自らCL王者に導いた古巣ポルトとの対戦は、悪夢の展開で幕開けた。開始わずか8分で、キャプテンのDFジョン・テリーが負傷退場し、その直後に先制点を奪われる展開。しかし、テリーに代えてMFアリエン・ロッベンを投入すると、直後の16分にFWアンドリー・シェフチェンコが左足でゴールを沈め、同点。その後は、途中出場のロッベンが負傷交代するアクシデントにも見舞われたが、試合巧者ぶりを発揮し、敵地で貴重なドローを収めた。

 この結果について、試合後の指揮官は大きな満足感を漂わせていた。

「結果には満足している。一週間準備して、試合を始めた瞬間にテリーを失ったのだからね。ベンチにもう1人センターバックがいれば問題ないが、ウチにそんな人材はいない。だから、システムを変えるしかなかった。マイケル・エッシェンをセンターバックに置いて、ロッベンを入れたんだ。テリーがピッチを離れている間に失点したが、シェフチェンコが素晴らしいゴールを決めてくれた。それでも、急遽出場したロッベンはウォーミングアップが十分でなく、ハムストリングを痛めて、ハーフタイムで交代せざるを得なかった。こういった状況を考える限り、アウェイゴールを奪ってのドローはポジティブな結果だろう」

 さらに指揮官は、アクシデントに見舞われながら動じない選手を見て、「ケガ人の続出など、難しい状況ながら、リーグ戦で2位、FAカップで準々決勝、リーグカップで決勝進出、そしてCLではベスト8が目前だ。このチームは、私がチェルシーの監督に就任して以来、最強のチームだ」と胸を張った。

 また、チームの大黒柱テリーの離脱について、「状況がどの程度深刻かは分からない。しかし、これが今シーズンのチェルシーだ」と達観するように語ったモウリーニョ。自らの去就もメディアを賑わすなど、何かと障害の多いシーズンを戦う闘将だが、実はそんな苦境を楽しんですらいるのかもしれない。