へそくりに隠された毒妻の「財産収奪計画」の手口が狡猾すぎる…!時効を知らずに借金を重ねた「夫の悲しき末路」
離婚した妻に財産を奪われた「夫の末路」
前編記事『こうして夫は「離婚した妻」にすべてを奪われた…!財産分与の時効を逆手に取った「毒妻」が送り届けた「恐怖の手紙」のヤバすぎる中身』で見てきたように、今回の相談者・修人さんが金銭と家事をめぐって妻と喧嘩が絶えませんでした。
具体的にはコロナ不況で修人さんの手取りが下がっても、家に入れる生活費を減らしてくれなかったり、納戸を整理せず、掃除せずに修人さんの衣服が行方不明になったり…結局、妻との間で折り合いがつかず、最終的には7年間の結婚生活に終止符を打ったのです。
妻は修人さんのことを完全に見下しており、修人さんからの離婚要求は飼い犬に手を噛まれたようなもの。もちろん、返事をもらうのに時間を要しましたが、修人さんの決断から8ヵ月後。ようやく妻が観念し、離婚届に記入し、役所へ提出することができました。
しかし、修人さんは気づかないうちに、妻に多くの財産を奪われていたのです。
今年5月、改正民法が国会で可決されました。そのなかには離婚に伴う財産分与の時効を2年から5年へ変更することが盛り込まれています。修人さんの離婚は、この改正の前のこと。このことが、妻による夫の財産収奪を2年で完成させることとなりました。
ちなみに、法務省(令和5年の司法統計年報)によると、家庭裁判所の調停、審判で離婚したのは2万3035件。そのうち、財産の分与を行ったのはわずか33%(7786件)しかいません。そして分与の金額別に見るともっとも多いのは100万円以下で20%(1575件)、次は200万〜400万円で14%(1085件)と続きます。
では、修人さんが妻にどのように財産を奪われたのか、見ていきましょう。
「借金地獄」にはまった夫
修人さん妻と暮らした部屋を引き払い、新しい部屋を借りたのですが、契約時に敷金、礼金が必要でした。
そして家財等を妻と分け合ったので不足分を購入しなければなりません。もちろん、修人さんが引き取った家財等を新しい部屋に運ぶのに引越業者へ依頼するので料金が発生します。残念ながら、修人さんは無一文の状態。手持ちの貯金はなく、あるのはカードローンだけです。これらの費用は40万円。修人さんは「消費者金融から借りるしかありませんでした」と苦虫をかみつぶします。
ようやく妻と離婚できたものの、手元には多額の借金だけが残りました。
修人さんは家計の足しになればと、副業でユーチューブを始めました。修人さんが近所の名所を自撮りしながら歩き、それをネット上で公開する…いわゆるVログに挑戦したそうです。
撮影を始まるにあたり、高性能のカメラ、マイク等の機材をそろえるのに30万円が必要でした。修人さんは「またサラ金で工面しましたよ」と苦笑いをします。
自宅で編集している際、たまたま撮影した動画に黒いアルファードが映っていました。運転席に座る女性の横顔が元妻にそっくりでした。しかし、結婚していたとき、妻が足代わりに使っていたのは中古で購入した軽自動車です。
仮に元妻のマイカーだとして、誰が400万円近くの資金を出したのでしょうか?元妻自身は離婚時、専業主婦だったし、両親とは仲たがいとして疎遠。新しい彼氏の車なのだろうか。修人さんはどうしても気になって元妻の家を訪ねたところ、駐車場には確かに黒いアルファードが停まっていました。
表札を見る限り、彼氏を同棲したり、再婚したりした様子はなかったそう。そこで筆者は「奥さんはずっと貯金をしており、そのお金で購入したのでは?」と指摘。毎月5万円を7年間、貯め続ければ420万円に達します。この計算が正しければ、元妻がアルファードを手に入れることは可能といえば可能です。
そして、離婚から2年1ヵ月後、前編でお伝えしたように、修人さんの自宅ポストに元妻から「以後、一切の財産を請求しないでください」との手紙が投函されたのでした。
財産分与の時効は期間の経過と同時に完成するわけではありません。そのことを相手方に伝えることで初めて成立します。これを時効の援用といいますが(民法145条)、筆者は「前の奥さんが時効の援用を行うため、手紙を送ったのではないでしょうか」と伝えました。
そう考えれば、すべての合点がいきます。
財産分与というと妻が夫の貯金を請求するイメージですが、そんなことはありません。法律は男女平等なので夫が妻の貯金を請求することは可能です。妻のへそくりは元を正せば、修人さんの給料(民法762条)。これを返すように(民法768条)求める権利がありました。
しかし、元妻からの手紙によって修人さんは権利を失ったのです。
妻に財産を収奪された「夫の末路」
夫に多めの生活費を払わせ、余った分を貯めていき、そして離婚するときに持ち出す…結果的にそうなったのではなく、元妻によって初めから仕組まれていたのです。修人さんは「つまり、あいつは確信犯ってことですか!」と唾を吐きます。
元妻がそのつもりで修人さんと結婚したのか、結婚生活のなかで修人さんに恨みを抱き、件の計画を思いついたのか、それとも離婚を決めたときに考え付いたのかは分かりませんが、その計画が予定通りに進んだのは事実です。
仮に妻のへそくりが420万円なら、修人さんは210万円を請求することができました。
修人さんが抱えている借金はカードローンが80万円、消費者金融が70万円ですが、これは元本です。実際には返済できず滞納していた月があり、金利や遅延損害金が上乗せされ、現在は合計で170万円に達しています。
それでも財産分与を正規の方法で行えば、借金をすべて完済するだけでなく、手元に40万円を残すことができたはずでした。
すぐに元妻を説得できなくても、とりあえず時効を6ヵ月間、延長したり(時効の完成猶予。民法150条)、振り出しに戻したり(時効の更新。民法152条)するなど修、人さんには複数の選択肢が残されていました。
修人さんが小銭稼ぎで始めたユーチューブ。最初の1ヵ月はビギナーズラックで1万円の収益が上がったものの、それ以降の収益は停滞し、直近の月ではわずか2000円という有様。修人さんは「もういいです!債務整理するつもりですから…」と投げやりな言葉を残し、事務所を後にしました。
修人さんの場合、もう少し早く、法改正が施行され、時効が2年から5年に延長されていれば、救われる道もあったかもしれません。
もちろん、元夫が元妻の貯金を特定するのは簡単ではありません。修人さんがたまたま妻の異変に気が付いたのは離婚から2年1ヵ月目でしたが、もし5年1ヵ月目だったら、法律が改正されても結果は同じだったでしょう。
しかし、時効が3年、延長されることで、もろもろの条件が揃えば、救われる人は一定数、いるはずです。
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