須藤早貴被告と野崎幸助さん(右:吉田隆/共同通信イメージ)

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『紀州のドン・ファン』と呼ばれた会社経営者・野崎幸助さん(当時77)が自宅で死亡していた事件で、殺人罪に問われている元妻・須藤早貴被告(28)。11月11日、2回目となる被告人質問が和歌山地裁で行われ、同被告が証言台に立った。第一発見者だった被告が初めて語った、野崎さんの“最期の様子”とは--。【前後編の前編】

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 野崎さんが死亡した2018年5月24日、自宅2階の寝室で意識を失っているのを発見したのが須藤被告で、野崎さんの死因は急性覚醒剤中毒だった。

「検察側は、事件当日の野崎さんと須藤被告の動きを改めて質問しました。須藤被告は午前9時ごろに起床し、野崎さんと外出、正午ごろに帰宅。その後、家政婦・Tさんと2人で買い物に。帰宅後、野崎さんと一緒にTさんが作ったしゃぶしゃぶを食べたといいます。

 Tさんはこのタイミングで外出。その後、20時半ごろに帰宅するまで、家にはいたのは野崎さんと須藤被告の2人だった。検察側は16時50分頃から20時頃が被告が野崎さんに覚醒剤を飲ませた“犯行時刻”だと主張しています」(司法担当記者)

 被告によると、昼食後、野崎さんは2階に、被告は1階にいたという。「17時頃、社長(野崎さん)が一階に降りてきて『添い寝をしよう』と言ってきた」「私はタブレットで映画とかYouTubeとかをみて、社長は隣で寝ていました」(須藤被告の主張内容)。その後、18時ごろに野崎さんと2人で夕食の時間を過ごしたという。夕食時、野崎さんは用意されたうどんに手をつけず、豆菓子を食べてビールを飲み、また2階に上がったという。

 検察側が指摘しているのは、「16時半ごろから20時ごろまでの間に、須藤被告が7度も2階に上がっている」という内容だ。須藤被告のスマートフォン機能である「ヘルスケア」の解析によれば、同時刻中に7回もの「階層上昇」が確認されているという。検察側は過去1か月間の「階層上昇」の回数と比較して「不自然」だと指摘している。

「須藤被告は、『(指摘されると)多いな、とは思います』としながら、野崎さんに目薬をさしてあげたり、バスローブや化粧品、充電ケーブルなどを取りに行ったのかもしれない、と主張しました。『日常的なことだから覚えていない』としつつ、検察側は『社長が死んだ日ですよ?』と、須藤さんの証言の曖昧性を指摘していた」(前出・司法担当記者)

 20時すぎに家政婦のTさんが帰宅した後は、被告はTさんと1階でテレビを見て過ごした。そして22時半過ぎ、野崎さんの部屋に行った被告が、野崎さんの異常を感知することとなった。当時の様子について、須藤被告は初めて克明に証言した。

〈22時より後、Tさんと喋っていました。22時半ごろ、野崎さんの部屋に充電器を取りに行きました。部屋に入ると、社長が座っていました。そのまま部屋の奥にある充電器を取りに行こうと、(野崎さんの横を)通り過ぎるあたりに『まだ起きてたの?』と声をかけても、返事がなかった。それで顔を見たら、“ろう人形”みたいになっていた。その後、下に降りて、Tさんと2階に上がった〉(須藤被告の主張内容)

 そして、野崎さんは急性覚醒剤中毒で死亡した。須藤被告の犯人性はいかに--後編記事では、須藤被告が新たに証言した「野崎さんに覚醒剤購入を依頼された」という内容について、検察側と被告が真っ向対立したやり取りについて詳報する。

(後編につづく)