京都府

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 京都府亀岡市は、職員の勤務時間が終わった後、時間外勤務(残業)を始めるまでの間に45分間の休憩を必須とする労務管理上のルールを廃止した。

 元々は職員の健康を守ろうと設けられた決まりだが、「働き方改革」を求める職員の声を受けて見直すことにした。

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 「子育て中なので、早く仕事を終わらせて、早く帰りたいんですけど……」。桂川孝裕市長と若手職員の間で定期的に開かれているランチミーティング。残業についてのルールを変えてほしいと職員が思いを伝えた。

 亀岡市役所では30年ほど前から、午後5時15分に終業してから午後6時までの45分間は一律の休憩時間とされた。残業を始められるのは原則として午後6時以降だった。

 市人事課によると、一律の休憩を設けていたのは、終業後すぐに残業を始めると、長時間にわたる連続勤務となり、労務管理上の問題があるとされたためだ。お茶を飲んだり軽食を取ったりして、残業に備えてリフレッシュする、といった時間の使い方が想定されていた。

 しかし、保育所の送り迎えや夕食作りのある職員の中には、少しでも早く帰宅するため、休憩することなく業務を続ける人も多かった。結果的に、この45分間分の労働は「時間外勤務」としてカウントされず、時間外勤務手当(残業代)をもらえない「サービス残業」になっていた実態もあったとみられる。

 市は7月1日付でこのルールを廃止した。桂川市長は「早く仕事を終わらせて自分の時間や家族と過ごす時間を大切にしたいというのは当然のことで、時代に合った働き方に変えていく必要がある」と説明する。(日比野容子)

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 同様のルールは府など他の自治体にもある。西脇隆俊知事は7月の定例会見で、見直しを含めて検討する考えを表明。府庁の場合は休憩時間は15分だったが、9月1日付で廃止した。

 府人事課によると、2009年に勤務時間を短縮して午後5時15分までとした際、午後5時15分から5時半までの15分間は一律の休憩時間とし、残業は5時半から開始するとした。一律の休憩時間を設けたのは、残業しない職員が帰りやすい雰囲気を作ることや、残業する職員にリフレッシュしてもらうためだったという。

 だが、府庁で今年6月から本格的に時差出勤制度を導入したため一律に休憩する意味合いは薄れた。終業時間が最も早い人で午後4時15分、最も遅い人で午後6時45分になったためだ。担当者は「柔軟な働き方が広がりつつある今、一律に休憩する合理性は失われた」と話す。

 亀岡市と同様、終業時間と残業開始時間の間に一律45分間の休憩を取ることとしていた綾部市も、9月1日付で一律の休憩を廃止した。2時間程度の残業で終わる見込みの場合は、終業後すぐに残業を始められることになった。一方、残業時間が2時間を超える場合は、長時間の連続勤務にならないよう、15分〜45分を目安として、休憩を取ることを推奨する。

 一方、京都市役所にはこうしたルールはないという。(日比野容子)