【JBCクラシック/3連単4点】JRA勢の一角を“消し” 狙いは進化を遂げて「コーナー6回がベスト舞台」に変わった脚質自在馬
今年のJBCクラシック(JpnI、ダ2000m)は、レース史上初めて、佐賀競馬場を舞台に争われる。1周1100mの右回りコースで、コーナーを6回くるりと回る。直線はわずか200mで、3コーナー手前からが勝負どころとなる、特殊な小回りへの巧拙が、勝敗を分けるカギとなりそうだ。JRA所属馬4頭と地方所属馬7頭、計11頭による頂上決戦、その結末を予想する。
■安定感の裏に勝ち切れない運のなさ
同週に行われる、本馬アメリカのブリーダーズCへ日本馬が参戦し、加えて、昨年のJBCクラシック覇者で、今年の帝王賞も制したキングズソードが、左前脚の屈腱炎により出走を回避したことにより、ダート競馬の祭典としては、やや物足りないメンバーとなった今年のJBCクラシック。それでも、国内の一線級が顏を揃え、特にJRA所属馬4頭による争いが濃厚だろう。
その中で、GIにあと一歩届いていないウィルソンテソーロが人気の中心だろうか。昨年の9月以来勝ち星に見放されているが、チャンピオンズC、東京大賞典、帝王賞と、GIで2着が3回。3月のドバイワールドCでは、世界の強豪を相手に4着に善戦するなど、その実力はGI級と言っても過言ではない。
戦法もチャンピオンズCでは後方からの追い込み、東京大賞典では逃げて粘るなど脚質自在。レースに合わせた戦略で臨むことができるタイプだ。佐賀は初めてとなるが、昨年は名古屋、盛岡、金沢と、異なる競馬場で勝利しているように、地方の小回りコースへの対応力は高く、ここでも大きく崩れることはないだろう。
気がかりな点は、海外遠征帰りのやや短い間隔でレースを迎えることか。加えて、その前走コリアCでは、力は見せているものの、勝ち馬に水を空けられての2着。1頭に強いパフォーマンスを見せられて、ビッグレースで取りこぼす“勝ち運のなさ”を持っている印象がある。今回もそんな“強パフォーマンス”を持つ馬に阻まれなければ良いのだが。
■未体験の直線200mに懸念
6歳を迎えて充実期に突入しているのがウィリアムバローズ。今年1月の東海Sで重賞初制覇を飾ると、GI級競走初挑戦となったかしわ記念では、自分のレースを作れず6着に敗れたが、前走の日本テレビ盃では、ウシュバテソーロやメイショウハリオを寄せ付けない完封劇を演じており、ビッグタイトル獲得へ王手をかけている。
前走日本テレビ盃組は、過去10回(京都開催だった2018年を除く)で【3.5.3.11】と好相性で、良績は中山、福島、札幌と小回りコースに集中しており、初の佐賀参戦でもコース適性に問題はないだろう。
あとは、全8勝中6勝が1800mで初経験となる2000mへの対応がカギを握ることになるだろうか。この相手関係なら、スタートさえまともならスンナリ逃げの手を打てるだろうが、コース形態から、番手組が早め早めの仕掛けに出ることは濃厚で、突かれることにより、未体験となる最後の200mで粘り切れない、というシーンも頭をよぎる。
■コーナー6回の適性高く久々の“美酒”か
ジャパンダートダービー覇者で、“大井専用機”と呼ばれていたノットゥルノは、近走の成績から、少し適性が変わってきた印象を受ける。
今年2月の佐賀記念で久々の勝利を飾り、5月の名古屋グランプリも制するなど、一時の不振から脱却したように見えたが、得意としていた前走の大井2000mの帝王賞では見どころもなく7着に大敗するなど、掴みづらい1頭となってしまった。
しかし、裏を返せば佐賀、名古屋での好パフォーマンスから、コーナー6回の舞台が最も得意とするコースへと適性が変わったのでは、とも考えられる。
特に佐賀競馬場を経験している点は、前記2頭より一日の長がある。1週前追い切りの栗東CWコースでは、自己ベストの6F78秒5をマークするなど状態面は絶好。脚質も自在型だし、勝負どころからの仕掛けでノッている鞍上の好プレーにも期待したいところだ。
■穴は3着に突っ込んできそうな地方馬
今年のJBCクラシックは佐賀で行われることを見据え、59キロの斤量を背負うことを承知しながら、佐賀記念を使って結果を出し、コース経験が奏功すると判断してここはノットゥルノを中心に据えて勝負したい。
GIで勝ち切れないイメージのウィルソンテソーロ、まだGI実績が乏しく、目標にされて厳しい競馬を強いられそうなウィリアムバローズは、2、3着に取りこぼしそうなイメージがあるので、3連単フォーメーションで、ノットゥルノ1着固定にて少点数で行く。
GI3勝のメイショウハリオは、昨年の帝王賞以降勝ち星に見放されており、その内容もあまり良くない。7歳を迎えてピークは過ぎた印象。7歳馬の成績も【1.2.1.19】と、世代別でみると若い馬に比べて一枚落ちており、今回はバッサリ切る。
地方所属馬はやや厳しい戦いとなりそうだが、兵庫のキリンジは元々JRAに所属していた馬で、佐賀記念2着、名古屋グランプリ3着と、ノットゥルノ同様にコーナー6回のコースでは善戦してくるタイプ。勝ち負けまでは厳しそうだが、JRA勢の攻防で脱落した馬を尻目に、漁夫の利で3着まではありそう、との判断で、穴として3着欄にマークしておく。
JBCクラシック2024 結論・買い目
◎(5)ノットゥルノ
〇(10)ウィルソンテソーロ
▲(9)ウィリアムバローズ
△(2)キリンジ
3連単フォーメーション(4点)
1着:5
2着:10、9
3着:10、9、2
◆著者プロフィール
石川豊●いしかわゆたか
20代から競馬メディアに寄稿。「ユタカ人気」と言われた時代、武豊が騎乗する過剰人気馬をバッサリと切り捨てる馬券術を駆使し、年間回収率100%超に成功。以来、「1番人気の勝率は3割」を念頭に、残り7割の可能性を模索し、「危険な人気馬」理論を唱え続ける。