兵庫県知事選「#斎藤知事がんばれ」がSNSでバズっている謎が解けた
〈まだまだ逆風の中ですが、知事に返り咲いていただきたく〉〈偏向報道のマスメディアが勝利するのは許せない気持ちです〉
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県議会の不信任決議で職を追われた兵庫県の斎藤元彦前知事(46)を支持する声がネットを席巻しているという。いったいなぜ?
ネットの人気者になった前知事
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四面楚歌だったはずの斎藤前知事
「出直し選には稲村和美前尼崎市長や維新の清水貴之参議院議員、元官僚の中村稔氏など7人が出馬表明する乱立ぶり。斎藤氏は自民・維新の後ろ盾を失くし、1人で返り咲きを狙っています」(地元紙記者)
告発文書問題に端を発し、全県議からの辞職要求、県内自治体首長や役所の職員からもそっぽを向かれ、四面楚歌だった斎藤前知事。出直しを図って細々とした選挙活動を強いられているはずが……。
「失職前後からSNS上では斎藤氏を支持する『#斎藤知事がんばれ』というハッシュタグがトレンドワードに度々上がります。Xのフォロワー数は今年3月までは3万人程度だったが、現在は12万人超え。今月、新たにYouTubeチャンネルを立ち上げ、わずか4日間で登録者数は5000人を超えています」(同前)
石丸伸二氏との共通点
この現象から思い出されるのは、先の都知事選で2位につけた前安芸高田市長の石丸伸二氏(42)だ。2人には共通点があるという。
「斎藤氏を支持しているアカウントを分析すると、かつては石丸氏を支持していたものが複数見られます。既存メディアへの不信感が強く、Xを1次情報とするのが両支持者の特徴。斎藤氏が駅前でお辞儀をしている姿を見て『こんな人がパワハラするはずがない』という皮相的な投稿も」(ウェブニュース記者)
反斎藤派からは「チーム石丸が暗躍し始めた」「斎藤支持の兵庫県民はほとんどいない」という声があがるなど、ネット世界では空中戦が盛り上がりつつある。
斎藤氏はある“おねだり”を…
“石丸フィーバー”の生みの親で「選挙の神様」こと藤川晋之助氏に聞いた。
「石丸現象が起こした政治への新しい流れが斎藤君にどう影響するのか注目です。2人は改革を貫くという意味では似ている」
と、両者の相似を指摘する神様に、斎藤氏はある“おねだり”をしていた。
「実は2週間前くらいに斎藤君から『藤川さん、助けてください』と電話があったけれど、維新の候補が出るから浮世の義理があるもんで、お断りしました」(同前)
“斎藤フィーバー”は起こりうるのか。
「斎藤君のところには最近、ネット戦略を手掛ける『良い集団が入った』と聞きましたよ」(同前)
怪しげな求人。マスコミ叩きに陰謀論が鉄板
さらに取材を続けていくとこんな怪しげな情報も。
〈政治系チャンネル(石丸伸二・斎藤知事など)でのライターさんを募集します!〉
これは企業や個人が不特定多数に向けて業務を発注できるクラウドソーシング最大手の一角、クラウドワークスに実際に掲載されていた求人である。
ITジャーナリストの三上洋氏が解説する。
「マスコミ叩きや陰謀論めいた動画はTikTokやYouTubeで鉄板コンテンツです。さらにアルゴリズムによって同様の動画が連続して表示されてしまい、ハマってしまう。そこに目をつけた収益目的の配信者がこのような求人を出すケースはあります」
藤川氏への依頼は事実? 「斎藤元彦がんばれ」
匿名の発注者は斎藤氏についたという「良い集団」のメンバーなのか。発注者に意図を尋ねたが返答はなかった。
じわじわ起きつつある“斎藤フィーバー”について10月14日、街頭で演説する斎藤氏に聞いた。
――「斎藤元彦がんばれ」がトレンドになっている。
「あぁ……また取材は文書を通じて」
――藤川氏に手伝いを依頼した?
「あ、特に(正式な契約は)ないです。はい、ありがとうございます」
代理人弁護士に書面で取材を申し込むと次のような回答があった。藤川氏に依頼したことは「知人から藤川様にご助言を頂くと良いのではないかと、ご紹介頂き、私から一度電話差し上げ、お話をさせて頂いたことは事実です」。SNSの運用チームについては「知人等の協力を得ながら対応しております」とした。
ネットで応援する声がいくら高まろうと、疑惑を説明する義務は免れない。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2024年10月24日号)