荒れた土地を実りの大地に、中国吉林省「新農人」の取り組み

スマート農業に関するソリューション企業、吉林省佰強科技の「新農人」研修拠点。(資料写真、長春=新華社配信)

 【新華社長春10月15日】中国の現代農業が発展するにつれ、さまざまな新技術が東北地区の農地でも盛んに用いられるようになった。耕作に精を出してきた伝統的な農業従事者が競うように「新農人」(専門的な知識に富み、農業技術をよく理解し、経営管理を得意とする新しいタイプの農業従事者)となり、ドローンによる植物保護や衛星測位などの科学技術を駆使して、食糧の増産に貢献している。

 吉林省農業科学院水稲研究所の稲作専門家だった趙法江(ちょう・ほうこう)氏(66)は定年退職後、スマート農業に関するソリューション企業、吉林省佰強科技に招聘され、省西部の大安市にある同社の栽培拠点の農業専門家となった。今では50年余りの稲作経験を持つ。

荒れた土地を実りの大地に、中国吉林省「新農人」の取り組み

9月30日、吉林省佰強科技の栽培拠点で、試験品種の刈り取りを行う趙法江氏。(長春=新華社配信)

 趙氏は、田畑のスマート設備が日進月歩の勢いで発展する中、身に付けるべき技術も増えていったと紹介。「ドローンを精密に遠隔制御して肥料や農薬を散布する必要があるほか、衛星から送られてくる土壌のpH値や病害虫データも読みこなさなければならない。無人の播種機や田植え機の操作をマスターしたり、適切なタイミングでかんがいするためのクラウドシステム操作を学んだりする必要もある」と語った。

 趙氏はより良い水稲栽培のためには、新たな知識を吸収すると同時に伝統的な経験も大切だと考えており、日頃から栽培拠点の若手技術者の質問に熱心に答え、豊富な稲作の経験を惜しみなく伝えている。

荒れた土地を実りの大地に、中国吉林省「新農人」の取り組み

吉林省佰強科技の栽培拠点にあるスマートかんがい装置。(資料写真、長春=新華社配信)

 大安市は世界三大塩類・アルカリ性土壌地域の一つに数えられ、作物の栽培には適していなかったが、1980年代から塩分に対する耐性の高い稲を栽培することで土壌を改善する試みを開始した。同時に、土地開発・整理やかんがい区域の整備、退化した草原の開発利用などのプロジェクトも統合的に実施して、かつて荒れ果てていた土地を徐々に「米どころ」へと変えることに成功した。(記者/孟含蒞、胡戈)