旧安倍派メンバー激怒「石破政権をボコボコにしてやる」自民党が「裏ガネ総選挙」で壮絶な仲間割れ…!「落選危機」候補者の「実名」を大公開する

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東京で「旧安倍派全滅」も

「驚いちゃったよ。ひどいですよ、本当に」

こう憤るのは、元復興大臣の平沢勝栄氏(東京17区)だ。1996年の初当選から9期務めたベテランだが、衆院選で「非公認」の憂き目に遭った。

「石破総理と何回も話をしたんですよ。総理は『先生が問題になるようなことは絶対にしません』とずっと言っていたのに、全部ウソだったんだ」

平沢氏は資金管理団体「勝栄会」に、所属する旧二階派(志帥会)から計1080万円の収入があったにもかかわらず、収支報告書に記載しなかったとして党役職停止1年の処分を受けた。いわゆる「裏金議員」である。

自民党は今回、裏金で「党の役職停止」以上の重い処分を受けた議員を公認しない見通しだ。急転直下の決断によって、どの候補者に赤信号が灯ったのか。

落選危機の議員が最も多いのは、首都・東京だ。しかも、大物ばかりである。平沢氏だけでなく、旧安倍派「5人衆」の筆頭として裏金・統一教会問題の中核にい萩生田光一元政調会長(24区)、同じく旧安倍派ベテランの下村博文元政調会長(11区)も、公認を得られず無所属での出馬となる。萩生田氏は5年間で2728万円、下村氏は476万円の不記載があった。

「この総選挙では、公明党は裏金議員を推薦しない方針です。萩生田さんは(公明党の支持母体である)創価学会の施設が数多くおかれている八王子市の選出。これまでと比べて4割近くも票が減るのではないか、と危惧されています」(自民党旧安倍派所属議員)

「ポスターを貼らせたくない」

萩生田氏の東京24区には、立憲民主党が「刺客」として前参院議員の有田芳生氏を立てる。野党の候補者調整が成れば萩生田氏の落選も視野に入るが、「有田さんは立憲の中でも共産党に近い議員だから、学会は反有田で動くはず」(自民党東京都連関係者)との見方もある。

「問題は、萩生田さんも下村さんも、仮に当選できたとしても、当面の間は自民党の看板を背負って活動はできない見通しだということ。来年7月の参院選への悪影響を、石破執行部は懸念しているんです」(同前)

彼らのように重い処分を受けたわけではなくとも、東京には「比例復活ナシ」を言い渡された裏金議員が多い。たとえば参院から鞍替えする丸川珠代元五輪担当大臣(東京7区)だ。前出と別の都連関係者が嘆く。

「丸川さんはパー券売り上げのノルマ超過分822万円を、自分の個人口座に入れていた。さすがにイメージが悪すぎます。しかも、東京7区には区割り変更で旧1・2区の港区の一部が入るが、港区の支援者は丸川さんのポスターを貼らせないほど拒否反応が強い」

保守票を丸川氏と維新の小野泰輔氏が取り合う展開になれば、立憲の松尾明弘氏が漁夫の利を得るだろう。さらに東京では1区の山田美樹氏(不記載額76万円)、21区の小田原潔氏(1240万円)も比例復活ができない。

「比例名簿に載せるな」

ここまで名前が出た候補者は、平沢氏を除いて全員が旧安倍派の所属である。いっぽう東京以外の地域でも、とりわけ保守系が弱い北日本や大都市部で窮地に陥る自民党候補が続出しそうだ。

北から見ると、北海道5区の和田義明氏岩手3区の藤原崇氏福島3区の菅家一郎氏らが「裏金」「統一教会」の問題で党から名指しされたうえ、旧安倍派所属だ。

「菅家さんは、裏金を自分の名義で政党支部に寄付し、148万円の所得税控除を受けるという荒技をやっていた。裏金の額も1289万円と大きく、前回も僅差で立憲の小熊慎司さんに敗れた」(自民党福島県連関係者)

「藤原さんは、青年局長在任中の『和歌山セクシーダンサー事件』や、自身が擁立した広瀬めぐみ参院議員(当時)の秘書給与詐取などトラブルが続出。裏金は14万円と少額でしたが、今回は(対抗馬で立憲の)小沢一郎さんが頻繁に地元に入っているので、厳しい情勢です」(岩手県連関係者)

関東・北陸では「ヤンキー先生」で知られる神奈川16区の義家弘介埼玉13区の三ッ林裕巳氏新潟5区の高鳥修一氏の3人が「裏金」「統一教会」「旧安倍派」が揃った候補者だ。さらに福井2区の元党国対委員長・高木毅氏は、統一教会との接点こそなかったとみられるが、1019万円の裏金で半年間の党員資格停止処分を受けており、非公認となる。

「高木さんは処分期間が終わったばかりのため、北陸の各地方本部から『比例全体の得票が減るから、北陸信越ブロックの比例名簿に高木を絶対に載せるな』という要請が党本部に届いていた。これが石破総理の強硬な対応の引き金になった、とも言われています」(前出と別の旧安倍派議員)

以前から野党が優勢な愛知では、安倍元総裁のもと'12年の総選挙で初当選した熊田裕通氏(1区)青山周平氏(12区)が苦戦を強いられそうだ。

熊田氏の相手は、日本保守党から出馬する名古屋市長・河村たかし氏。

「河村さんは県外では奇人だと思われているが、県民や名古屋市民からは『減税や市職員の人件費カットなどを手堅く進めている』と意外に評価が高い。何より、知名度で熊田さんは全く相手にならない」(愛知県連関係者)

石破をボコボコにする

関西では、維新王国・大阪で自民の議席を死守していた13区の宗清皇一氏19区の谷川とむ氏がともに前回は比例復活だったこともあり、落選濃厚とみられている。また「旧安倍派5人衆」に名を連ねていた大物、和歌山2区の世耕弘成氏兵庫9区の西村康稔氏は、無所属でゼロからの再スタートとなる。

今回「非公認」と「比例重複ナシ」の候補者を数えると、自民党全体で40人を超える。うち前回も比例復活で当選した議員は9人で、その全員が旧安倍派の所属だ。

加えて萩生田氏や下村氏、世耕氏、西村氏に高木氏といった重鎮も地べたに突き落とされ、この総選挙で旧安倍派が壊滅することは確実となった。ここまでに名前が挙がった一人の、ある旧安倍派議員が憤慨する。

「すでに処分は一度下されたのに、石破さんや党執行部の一存でそれを蒸し返すなんて、ふざけていますよ。こうなったら、石破さんは安倍さんをさんざん批判してきたんだから、同じことをするまで。今度は僕らが『党内野党』になって石破政権をボコボコにする」

だが、傍流から本流の座を奪い取った石破総理の側も、無傷で選挙を乗り切ることはできなそうだ。政権や執行部の中にも、選挙区で敗れかねない候補者が少なくない。

法務大臣として初入閣した牧原秀樹氏(埼玉5区)、石破総理の推薦人で農水大臣として初入閣した鹿児島3区の小里泰弘氏はいずれも前回、比例復活でかろうじて当選している。牧原氏の相手は立憲の枝野幸男元代表である。

「小里さんは同じ鹿児島出身の森山幹事長が閣内に押し込んだが、2019年に女子大生と『愛人契約』を結んでいたと『週刊新潮』に報じられた件が、まだ地元の女性支援者の間で尾を引いている。復興大臣に抜擢された愛知8区の伊藤忠彦さんは、地元に戻っておらず、前回は次点にわずか1000票差まで詰められた」(自民党閣僚経験者)

たとえ旧安倍派や裏金議員を「いけにえ」としても、自民党そのものに対する国民の怒りと落胆が鎮まるわけではない。

「党の最新の調査では、単独過半数の233議席割れは確実。最悪、自公でも過半数に届かない。その時は即、倒閣運動が始まる」(同前)とみる者も党内に多く、石破政権は超短命の「選挙管理内閣」と化すかもしれない。

石破総理が尊敬する田中角栄元総理は「政治は数、数は力だ」と断言していた。いま、総理はその言葉の重みを噛みしめているに違いない。

【つづきを読む】『解散日も人事もすべて言いなり…!“仲間がいない”石破が頼った、意外な「長老議員」の名前』

「週刊現代」2024年10月19日号より

解散日も人事もすべて言いなり…!“仲間がいない”石破が頼った、意外な「長老議員」の名前