スポニチ

写真拡大

 女優の吉高由里子(36)が主演を務めるNHK大河ドラマ「光る君へ」(日曜後8・00)は13日、第39話が放送され、12年ぶりの大河出演となった俳優の高杉真宙(28)が好演してきた主人公・まひろの弟・藤原惟規の最期が描かれた。愛すべき今作屈指のムードメーカーとの別れ。涙の視聴者が相次ぎ、インターネット上には「惟規ロス」が広がった。

 <※以下、ネタバレ有>

 「ふたりっ子」「セカンドバージン」「大恋愛〜僕を忘れる君と」などの名作を生み続ける“ラブストーリーの名手”大石氏がオリジナル脚本を手掛ける大河ドラマ63作目。千年の時を超えるベストセラー「源氏物語」を紡いだ女流作家・紫式部の波乱の生涯を描く。大石氏は2006年「功名が辻」以来2回目の大河脚本。吉高は08年「篤姫」以来2回目の大河出演、初主演となる。

 第39話は「とだえぬ絆」。中宮・藤原彰子(見上愛)が2人目の皇子を出産。次期皇位をめぐり、公卿たちの思惑が入り交じる中、藤原道長(柄本佑)は自身の血を引く天皇の誕生を意識し始め、藤原伊周(三浦翔平)の体調悪化の噂が宮中で広まる。一方、帰省中のまひろ(吉高由里子)が久しぶりに家族団らんを楽しんでいると、藤原賢子(南沙良)の父親が道長であることを、藤原惟規(高杉真宙)が藤原為時(岸谷五朗)にバラしてしまう。真実を知った為時は…という展開。

 寛弘8年(1011年)、惟規は従五位下に昇進。いと(信川清順)は「いつかこういう日が来ると思って」、密かに赤の束帯を準備していた。2人は涙の抱擁を交わした。

 春の除目。為時が越後守に任じられ、惟規が父を送ることに。「私は今、都にはいたくないのです」。斎院の中将(小坂菜緒)に「ひどい振られ方をしましたゆえ、気分を変えに越後まで父上を送ってまいります」と明かした。

 越後への道中。惟規は突然、激しい腹痛に襲われた。越後国府に到着。為時は医師を呼んだ。

 惟規は筆を手に取り、紙に書き進めるが、為時の腕の中で力尽く。「惟規…惟規!」。為時は愛息の名を泣き叫んだ。

 惟規の辞世の歌が届く。いとは慟哭、賢子も涙。まひろは「ここで力尽きたと、父上が。都にも、恋しい人がたくさんいるゆえ、何としても、生きて帰りたいって」。乙丸ときぬも嗚咽。まひろは賢子に抱かれ、泣き続けた。

 「都にも 恋しき人の 多かれば なほこのたびは いかむとぞ思ふ」(惟規の声)

 惟規が越後へ向かう途中で病にかかり、到着後に亡くなるのは「今昔物語集」などに伝わる説話通りの展開。辞世の歌の最後の「ふ」は、為時が書き加えたとも。「後拾遺和歌集」に採録されている。

 オンエア後、撮影現場からの音声コメント「君かたり」が番組公式SNSにアップされた。

 ▼高杉真宙(惟規役を演じ切って)「もう会えないのか」と思うと、やっぱり僕も寂しいですね。(視聴者の)皆さんが惟規に会えない気持ちと一緒で、僕も惟規に会えないので。(キャストの)皆さんともう撮影でお会いできない寂しさもあるという感じですかね。

 家族にも、家族以外でも人に愛されてきたキャラクターだったなと思いますね。それは物語の中で色々なところで感じる部分が多かったです。忍び込んだ斎院の中将の君の場所でも(罰を)免れたりとか(笑)、道長さんとお会いした時も優しく接してもらったりとか。いともそうですし、色々な人からの愛をたくさん受けたキャラクターでした。

 (惟規の最期を演じて)一番思ったのは、父上に対してかなとは思いますね。子どもを看取らなきゃいけないのは切ないし、つらいだろうなと。(佐々木善春)監督ともお話しして、人に対して気を使ったりする部分が見えて、笑顔で亡くなってほしいと言われていたので、惟規のよさが最期まで出たらいいなと思っていましたね。たぶん心残りはたくさんあるので、特に家族事で。惟規が最後まで言っていた通り、「うまくいくといいな」と。いとも乙丸も、道長さんも、全部うまく丸く幸せに生きてほしいと思っていますね。

 次回は第40話「君を置きて」(10月20日)が放送される。