お好み焼き粉の中で“無数のダニ”がモゾモゾ!?気づかず食べると「パンケーキシンドローム」の可能性も…対策を聞いた

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ふわふわの生地に、クリームやフルーツなどのデコレーションも楽しい「パンケーキ」。その名前が入った「パンケーキシンドローム」を知っているだろうか?

小麦粉や、ホットケーキミックスやお好み焼き粉などの調整粉に含まれるダニを食べてしまうことで引き起こされる、アレルギー症状のこと。 

いったいどのようなものなのだろうか。ダニの研究・対策製品の開発を行っている日革研究所に聞いた。 

栄養満点の“粉”はダニの温床に…

「パンケーキシンドロームは『口腔ダニアナフィラキシー』とも呼ばれており、アレルギー物質であるダニや、その死骸やフンが大量に含まれる食品を摂取することで引き起こされる重篤なアレルギー症状です。鼻水や目のかゆみといった、通常知られているアレルギー症状とは異なります」

日革研究所によると「重篤なアレルギー症状(アナフィラキシー)」には以下のようなものがある。

・全身のじんましん
・むくみ
・呼吸困難
・喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音)
・腹痛
・嘔吐
・血圧低下

さらに、最悪の場合は命を落とす危険性さえもあるという。

パンケーキシンドロームはダニアレルギーを持つ人や喘息の人などが、ダニが大量に含まれる食品を食べてしまうことで引き起こされる。 ただ、世界でも研究報告が少なく、個人差もあるため、どのくらいの量のダニを食べると症状が出るのかは不明だという。 
 
かわいい名前とは裏腹に、実態を知るとゾッとしてしまう「パンケーキシンドローム」。そもそもなぜ「パンケーキ」なのか。日革研究所に尋ねると、こんな答えが返ってきた。

「主にチリダニ(ヒョウヒダニ)やコナダニが、お好み焼き粉やホットケーキミックスなどに繁殖しやすいことからこの名前が付いたといいます。ホットケーキミックスやお好み焼き粉の原材料は、ダニが好む匂いやアミノ酸類を含んでいるため、ダニが誘引されやすい・繁殖しやすいと言われています」

日革研究所では実際に「お好み焼き粉」を使い、ダニの繁殖について次のような実験を行っている。 

お好み焼き粉をシャーレに入れ、台所の保管庫の中に置いたところ、2週間後、かすかに動くダニを確認。 

次に、1カ月放置したシャーレを見ると、なんと、粉全体がモゾモゾと動いている!大量のダニが繁殖していることが判明した。

「市販のパンケーキミックスやお好み焼き粉などの食品粉末を使用して、自社でダニの増殖試験を行ったところ、3カ月で約100倍に増殖する商品もありました」

加熱してもダメ!死骸もアレルゲンに

さらに、パンケーキシンドロームが怖いのは、よく火を通して調理しても症状が出てしまうということ。

ダニは生きている状態だけでなく死骸やフンもアレルゲンとなり、たとえよく熱してもアレルゲン自体が消えて無くなるわけではない。

「開封後に常温保存で時間がたってしまった食品粉末は、ダニが大量に増殖している可能性があるため注意が必要です。家族の中にダニアレルギーを持つ人がいる場合は、廃棄を検討しましょう」

ダニの繁殖が爆発的な上、火を通しても防げないとなると、ダニが粉の中に入ってくるのを防ぐしか打つ手はない。では、一度開封した粉類はどのように保存したらよいのだろうか。

ホットケーキミックスやお好み焼き粉などを販売している数社の公式サイトを見てみると、どの商品にも「開封後は吸湿・虫害などを防ぐため、冷蔵庫で保存し、お早めにお使いください」との注意書きがあった。

袋の閉じ方については「輪ゴムやチャックでしっかりと口を閉じる」「密閉容器に入れる」などの差があったが、どれもダニをはじめ虫が混入することに対して注意を呼びかけるものとなっている。

そのような中、日革研究所は次の方法を推奨している。

「ダニが繁殖しやすい環境は、温度25〜30℃、湿度65〜85%。これらの環境を避け、開封後はガラスやプラスチックの容器に袋ごと、あるいは中身(粉)を移して冷蔵庫で保存し、なるべく早く使い切るのがよいでしょう。

冷蔵保存する場合は、密閉容器に入れるとより安全ではありますが、しっかり口が閉じられていれば袋のままでも問題ないでしょう」

現在、シンクの下などの湿度のある場所で、小麦粉や調整粉を常温保存している人は要注意。安全のため、今一度、正しい保存方法を確認してほしい。