「辞めさせてもらいます」…退任したオリックス・中嶋聡監督が”日本ハムで指揮を執るのでは”の理由

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「球団が夏ごろから続投要請していると聞いて、『あるいは……』と思っていました。監督は天邪鬼で有名ですからね」(スポーツ紙デスク)

“電撃”と各メディアが報じたオリックス・中嶋聡監督(55)の退任劇。だが、実のところ、少なくない記者たちが“さよならの予感”を感じていたという。しかも、彼らはこうも言うのだ。「次は日本ハムで指揮を執るのでは」と。

日本シリーズを闘った阪神・岡田監督も……

今季最終戦となった楽天戦後、中嶋監督が語った辞任理由は関係者を唸らせるものだった。

「僕は『責任』という言葉をよく使っていました。『こっちに責任があるから思い切ってやってくれ』と。それを考えたら、ここまでチームが落ちるということに関して責任は取りたいと思いますね」

「今まで通りにやっていても、人って“慣れる”じゃないですか。慣れという部分が、今年は強く出てしまった。初めに言っていたのは全力疾走であり、攻守交代であり、『そこはしっかりやってくれ』と。最下位からのスタートだったので、その最下位のチームがそれができないのはおかしい」

「勝ったチームがやらんでいいのかってなった時に、どれだけ言っても、それが改善されなかった。なぜできなくなったのか。CSファイナルのゲームだったとか日本シリーズのゲームだったとかならやるわけじゃないですか。1年間通してやるっていう最低限の約束をしていたんですけど、そこに関しての薄さが出たというか。どんだけ言ったところで言ってもやれないなら、言ってないのと一緒なんで、そこに関しては慣れなのかなと思いますね」

いち早く反応したのが日本ハム・新庄剛志監督(52)だった。中嶋監督が「辞めさせてもらいます」と宣言した翌日、報道陣の前でこう感想を述べた。

「中嶋さんのコメント見ましたけど、そういう気持ちもすごく分かる。確かにこの3年間、オリックスの選手たちを見て、走塁にしても『ちょっと抜いてるな』っていうところも見えた。(優勝に向けて)登っている今のファイターズにはない。でも3連覇してたら分からない」

ナンボ言うても走らん。進塁打のサインを出してんのに何回、フライを打ち上げよったか……アレンパを逃した阪神・岡田彰布監督(66)が今季、度々嘆いていたのも慣れ――頂点を極めたチームの緩みを正したかったからだろう。

中嶋監督のプロキャリアの出発地は阪急ブレーブス。そこから西武、横浜と渡り歩き、日本ハムで引退。29年のキャリアのうち、最長となる12年間を日本ハムで過ごした。

新しい環境で頂点を目指す

「現役最終年はバッテリーコーチ兼任で、引退翌年にはチームが提携しているサンディエゴ・パドレスに2年間のコーチ留学に行かせてもらっています。で、帰国後すぐに一軍バッテリー兼作戦コーチとして名将・栗山英樹監督(63)のそばで帝王学を学んだ。言い方が悪いですが、日本ハムが将来の監督として手塩にかけて育てていたのをオリックスが“強奪”した形になっている。中嶋さんはぶっとい筋が1本、通っている男。日本ハムへの恩返しは間違いなく頭にある」(スポーツライター・藤本大和氏)

最下位だったオリックスを見事に建て直し、3連覇を成し遂げた手腕については説明不要だろう。名将は去り際、報道陣にこう告げた。

「やり返したい気持ちはもちろんあったが、やり返すなら新しい形がいい」

「各紙、新体制でオリックスがV奪回を――というメッセージだと受け取っていましたが、私には“新しい環境で頂点を目指す”という意気込みに聞こえました。日本ハムは来季の監督が決まっていません。新庄監督が『いまは日本シリーズ制覇しか考えていない』と球団の続投要請への回答を保留しているからです。ポスト・新庄の一人として名前が挙がっている稲葉篤紀二軍監督(52)は拠点を関東に移していると聞く。中嶋さんは『しばらくゆっくりする』と言ってましたけど、横滑りで電撃就任なんて未来はゼロじゃないと私は思っています」(前出・藤本氏)

中嶋さんは天邪鬼だから――と藤本氏は続けた。

昨年の日本シリーズを闘った両監督、ミスタードラゴンズが去り、ビッグボスの去就も不透明。ストーブリーグが熱く燃え上がりはじめた。