福島原発の“処理水”の安全性を証明し続けている韓国、さらなる放射能検査の強化を求めるが…疑問も

写真拡大 (全2枚)

韓国で日本から輸入する水産物に対する放射能汚染検査をさらに強化すべきという指摘が出ている。

【注目】東京よりもソウルが放射線に汚染されている理由

福島原発の“処理水”に対する韓国国民の不安が高まるなか、毎年釜山(プサン)港に入港する日本の生鮮魚運搬車が約2000台に上るが、そのうち精密検査を受けるのはわずか40台に過ぎないことが明らかになった。

また、検査項目についても国内海域では7つの核種を調べるのに対し、生鮮魚運搬車の海水は1つの核種しか分析していないため、制度改善が急務だとの指摘が出ている。

精密検査しているのは2000台中、40台のみ

日本は2023年8月から1年間で8回にわたって計6万2490トンの処理水を放出し、9月26日には9回目の放出を開始した。

ハン・ミンス議員が原子力安全委員会から提出を受けた資料によると、釜山港に入港する日本の生鮮魚運搬車は、2020年2056台、2021年2159台、2022年2540台、2023年1932台となっており、今年は約2000台になると予想されている。

原子力安全委員会は2020年から2024年の第3四半期まで、四半期ごとに10台の日本の生鮮魚運搬車の海水を精密検査している。毎年約2000台が入港するなかで、検査されるのは年間40台だけなのだ。

(写真=photoAC)福島第一原子力発電所

原子力安全委員会は、韓国国内の沿岸海域78地点でセシウム137、セシウム134、トリチウム、ストロンチウム90、プルトニウム239+240、ヨウ素131、カリウム40など7つの核種を精密分析している。しかし日本近海で操業した日本の生鮮魚運搬車の海水については、セシウム137のみを精密検査している。

原子力安全委員会は「検査項目を増やすことが望ましいが、時間と人員に制限があるため、海洋に放出される放射能核種の中で最も重要なセシウム137のみを検査している」と説明した。

ハン・ミンス議員は、処理水に対する不安が高まっているなかで、日本近海の海水をそのまま積んでくる日本の生鮮魚運搬車の海水は、国内の海域よりもさらに精密に検査する必要があると指摘。また、「現在わずか2%しか行われていない精密検査の対象を増やし、検査する核種も現在の1種類から7種類に拡大すべきだ」と強調した。

ただ、このハン議員の指摘が実現されるかは、はなはだ疑問だ。

予算削減の現実

例えば、慶尚北道・浦項(ポハン)市は9月30日、これまで福島原発の処理水放出に関連して実施した水産物の放射能検査で、セシウムやトリチウムなどすべてが許容基準に適合していると発表した。

9月末現在、セシウム(0.1Bq/L)、トリチウム(100Bq/L)において、セシウムは0.002Bq/Lと安全であり、トリチウムは検出されなかったことが確認されている。

また、韓国政府も処理水と関連して原子力安全委員会内の放射能監視対応チームを新設したが、来年度の予算を大幅に削減している。

イ・ジョンホン議員が9月30日に公開した資料によれば、放射能監視対応チームに関連する予算は、今年の74億2400万ウォン(約8億2000万円)から来年度(政府提出案基準)は47億4200万ウォン(約5億2000万円)と、36.1%減となっている。

特に海洋放射能調査のためのR&D予算は、60%以上削減。海洋放射能調査および評価事業費は、2024年の44億6400万ウォン(約4億9000万円)から2025年には17億8200万ウォン(約1億9000万円)に、海水のサンプル採取および分析のための機関固有事業費は、2024年の30億7400万ウォン(約3億4000万円)から2025年には14億9500万ウォン(約1億6000万円)に減少している。

そもそも福島原発の処理水は、「トリチウム以外の放射性物質を、安全基準を満たすまで浄化した水」(日本経済産業省)だ。これまで韓国が明らかにしてきた検査結果から見ても、今後も安全である可能性が高いことが予想される。

ハン・ミンス議員の主張する通り、日本の生鮮魚運搬車への検査が強化されるのか注目したい。

(文=サーチコリアニュース編集部O)