【これからの見通し】ドル相場は上昇トレンドを形成、きょうは米CPIの発表

 10月に月替わりしてからは、ドル相場が上昇の動きを強めている。直近のFOMCでパウエル議長が今後の大幅利下げについて否定的だったこと、米雇用統計がサプライズな強さをみせたことなどが作用した。米国以外では、ECBの10月利下げ観測が高まっていること、英中銀のベイリー総裁が意外にも利下げに前向きな発言をおこなったこと、石破首相が日銀の早期追加利上げに難色を示していること、中東リスクの継続がリスク回避のドル高につながったこと、中国の景気刺激策に中国市場が活気付いたことがリスク選好の円安でドル円を下支えしたこと、などなど多くの材料が作用しているようだ。ドル指数は、8月16日以来、約2週間ぶりのドル高水準に上昇してきている。

 そしてきょうは米インフレ指標の代表格である、9月消費者物価指数が発表される。市場予想は前月比+0.1%と前回の+0.2%から鈍化、前年比は+2.3%と前回の+2.5%から鈍化する見込み。コア指数は、前月比+0.2%と前回の+0.3%から鈍化見込みも、前年比は+3.2%と前回並みの水準にとどまる見込みだ。パウエル議長が政策に軸足をインフレから雇用に変化させるなかで、緩やかなインフレ低減は歓迎すべき状況といえそうだ。経済のソフトランディング期待にブレーキとなるような極端な結果とならなければ、緩やかな利下げ路線を後押しするものとなりそうだ。予想と結果との比較で、発表直後にはドル相場の反応が想定されるが、その後の株式市場の動きにドル円相場は影響されそうだ。

 その他には同時刻(日本時間午後9時30分)に米新規失業保険申請件数も発表される。市場予想は23万件と前回の22.5万件に近い数字となっている。4週移動平均は22.425万件となっており、平均的水準から大きく乖離しない結果が想定されている。

 発言イベントと関連では、氷見野日銀副総裁の講演、英中銀四半期信用状況調査、ECB議事録(9月12日開催分)などの内容もチェックしておきたい。NY時間にはクックFRB理事、バーキン・リッチモンド連銀総裁、ウィリアムズNY連銀総裁、などの講演イベントなどが予定されている。米30年債入札(220億ドル)が実施される。

minkabu PRESS編集部 松木秀明