検察官の起訴状朗読を聞く角川被告(右端)=イラスト・構成 秋山史朗

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 東京五輪・パラリンピックを巡る汚職事件で、大会組織委員会元理事の高橋治之被告(80)(受託収賄罪で公判中)に対する贈賄罪に問われた出版大手「KADOKAWA」前会長・角川歴彦(つぐひこ)被告(81)の初公判が8日、東京地裁(中尾佳久裁判長)であった。

 角川被告は無罪を主張し、「起訴事実は全く身に覚えがなく、検察官が勝手に作り上げた虚構だ」などとする意見陳述書を読み上げた。

 起訴状によると、角川被告はKADOKAWAの元専務と元担当室長(いずれも有罪確定)と共謀し、大会スポンサーに選定されるよう便宜を図ってもらった謝礼などとして、2019年9月〜21年1月、高橋被告に計約6900万円の賄賂を提供したとしている。

 検察側は冒頭陳述で、同社はブランド力を高めるため、東京大会のスポンサーになるなどの関連業務を角川被告の意向のもとで進めていたと指摘。元担当室長と元専務は、高橋被告に力添えを依頼することを角川被告に報告していたとした。

 東京五輪・パラリンピックを巡る汚職事件で、大会組織委員会元理事の高橋治之被告(80)(受託収賄罪で公判中)に対する贈賄罪に問われた出版大手「KADOKAWA」前会長・角川歴彦(つぐひこ)被告(81)の初公判が8日、東京地裁(中尾佳久裁判長)であった。角川被告は無罪を主張し、「起訴事実は全く身に覚えがなく、検察官が勝手に作り上げた虚構だ」などとする意見陳述書を読み上げた。

 起訴状によると、角川被告はKADOKAWAの元専務と元担当室長(いずれも有罪確定)と共謀し、大会スポンサーに選定されるよう便宜を図ってもらった謝礼などとして、2019年9月〜21年1月、高橋被告に計約6900万円の賄賂を提供したとしている。

 検察側は冒頭陳述で、同社はブランド力を高めるため、東京大会のスポンサーになるなどの関連業務を角川被告の意向のもとで進めていたと指摘。元担当室長は、高橋被告に力添えを依頼することを角川被告に報告していたとした。

 元担当室長らは高橋被告側から金銭の支払いを要求された際、組織委理事という公の立場にある高橋被告に金銭を支払うことは違法ではないかと懸念したが、角川被告が了承したため、支払いに応じることにしたと説明。角川被告はコンサルタント業務の対価の名目で支払うことについても了承していたとし、贈賄などに該当し得ると認識していたと述べた。

 一方、弁護側は冒頭陳述で、角川被告は10年から代表権のない取締役会長になり、同社の事業に関する決裁権限はなかったと主張。会社の意思決定は厳格に規律されていたとした上で、角川被告は社内の報告ラインにもいなかったと指摘し、「現実離れした検察の見立てありきのストーリーで冤罪(えんざい)が作られた」と強調した。

 初公判にスーツ姿で出廷した角川被告は、おぼつかない足取りで証言台の前に立ち、「私に対する東京地検特捜部の立件ほど、理不尽で冷酷なものはありません。私は無実です」などと意見陳述書を読み上げた。

角川被告以外の11人、1審で有罪判決

 事件では5ルートで計12人の贈賄側が起訴され、角川被告以外の11人は1審で有罪判決を受けている。

 贈賄側では、角川被告の共犯として起訴された「KADOKAWA」の元担当室長と元専務がいずれも初公判で起訴事実を認め、有罪判決が確定。このほか、紳士服大手「AOKIホールディングス」、大手広告会社「ADKホールディングス」、ぬいぐるみ販売会社「サン・アロー」の3ルートで8人の有罪が確定している。

 一方、大手広告会社「大広(だいこう)」の元執行役員は東京地裁の初公判で「贈賄の認識はなかった」などと無罪を主張。今年3月に有罪判決を言い渡された後、控訴している。

 収賄側では、高橋被告が昨年12月の初公判で「受けとった金銭は理事としての職務の対価ではなく、賄賂ではない」と起訴事実を否認し、公判が続いている。