自宅でくつろぐ袴田巌さん(8月29日、静岡県浜松市で)=高橋美帆撮影

写真拡大 (全3枚)

 静岡県一家4人殺害事件の再審判決で、静岡地裁は26日、強盗殺人罪などで死刑が確定した袴田巌さん(88)に無罪(求刑・死刑)を言い渡した。

 死刑が確定した事件で再審無罪となるのは戦後5件目。

 事件発生から1年2月後に現場近くのみそタンクから見つかり、確定判決が「犯行着衣」と認定した「5点の衣類」について、国井恒志(こうし)裁判長は「捜査機関が加工して隠匿したものだ」と述べ、証拠の「捏造(ねつぞう)」に言及した。

 事件は1966年6月30日に起きた。静岡県清水市(現・静岡市清水区)のみそ製造会社の専務宅が全焼し、専務(当時41歳)と妻(同39歳)のほか、次女(同17歳)と長男(同14歳)の他殺体が見つかった。

 同社従業員だった袴田さんは逮捕後に「自白」したが、公判では一貫して無罪を主張。だが、80年に死刑が確定した。2008年からの第2次再審請求で昨年3月、再審開始が決まった。袴田さんは14年に釈放されている。