中国の王毅外相(右から2人目)と会談する上川外相(左)(23日、米ニューヨークで)=外務省提供

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 【ニューヨーク=工藤彩香】上川外相は23日午後(日本時間24日未明)、中国王毅(ワンイー)外相(共産党政治局員)と米ニューヨークで会談した。

 中国広東省深圳(しんせん)市で日本人学校の男子児童が登校中に中国人の男に刺殺された事件について、事実解明や再発防止を強く求めた。

 上川氏は〈1〉一刻も早い事実解明と日本側への明確な説明、犯人の厳正な処罰と再発防止〈2〉在留邦人の安全確保のための具体的措置〈3〉根拠のない悪質で反日的なSNSの投稿の早急な取り締まり――を要請した。王氏は「(事件は)偶発的な個別事案であり、法律にのっとり処理していく」と述べた。両氏は外交ルートを通じた協議継続を確認した。

 中国外務省によると、王氏は上川氏に、「日本側は冷静かつ理性的に事件を扱い、政治化や拡大化するのを避けるべきだ」と注文をつけたという。

 両氏は、東京電力福島第一原子力発電所の処理水海洋放出を巡り、日中両政府が合意した日本産水産物の輸入再開についても意見を交わした。上川氏は「追加的なモニタリング(監視)を早期に実施し、規制の撤廃に向けた目に見える進展を確実に示していきたい」と述べた。

 上川氏は、中国軍機による8月の領空侵犯などについて「深刻な懸念」を表明したほか、中国当局が拘束した邦人の即時解放や中国が東シナ海の日本の排他的経済水域(EEZ)内に設置したブイの撤去も求めた。