Twitterのカルチャーが「残っている」という自負――ロプロス × yositosi 開発者対談

Twitter関連サービスとしてどちらも2009年にスタートし、2024年で15周年を迎えたTogetterとTwliog。その記念として、それぞれのオリジナル開発者であるyositosi(吉田俊明)とロプロス氏に、初めてTwitterに触れた頃の話からサービスの開発〜発展、Xへの変化を含むイーロン・マスク体制以降の動乱まで、この15年を振り返ってもらった。

Twitterはゆるくて気軽な雰囲気、APIも多機能で自由度が高かった

ロプロスさんはいつ頃Twitterを始めたんですか?私が始めたのは2007年で、当時勤めていた会社の同僚たちの間で話題になっていたのがきっかけです。日本国内での最初の盛り上がりみたいなものが、このタイミングであったと記憶しています。「百式」の田口元さんあたりから広まった流れですかね。

私は2008年ですね。始めたきっかけは正直よく覚えてないのですが、何かの強い動機があったわけではなく、はてなを中心としたギークコミュニティでたびたびTwitterが話題になっていたので、ちょっと試してみようかな、という感じで始めたんだと思います。

当時、日本でSNSと言ったらmixiでしたが、リアルな人間関係がベースのmixiとは違って、フォロー/フォロワーというユーザ同士のゆるい繋がりも、140文字という短文で何気ない一言をつぶやくという投稿スタイルも、気楽で気に入りました。

Twitterを始めた時点では「APIを使ったサービスを作るぞ」みたいな意識はなかったんですが、当時から「個人開発するときはなにか新しい技術を触ってみる」というルールを自分に課していたので、TwitterのAPIを触ってみる、という意味でTogetterを作り始めたのを覚えています。

当時は多くのWebサービスがAPIを公開していて、個人開発者がそれらを利用して新しいサービスを作るのが流行ってましたよね。その中でもTwitterのAPIは特に多機能で自由度が高かった印象です。最初の頃は開発者登録もOAuth認証すら不要で制限も緩く、開発のためのハードルがとても低かったので、多くの個人開発者がTwitter関連のサービスを作るようになったんだと思います。

すでにふぁぼったーやモバツイ、buzztterといったTwitter黎明期を支えたサービスがあり、「APIを使っておもしろいことができそう」という思いはありましたが、Twitterを始めた当初はまだ具体的に何かを作ろうとは考えていなかったです。

Twitterクライアントを作る人もいっぱいいましたね。自分好みのクライアントを作って、それぞれの楽しみ方でTwitterに触れるというのは、なかなかない体験だったと思います。私はiPhoneアプリ時代のTweetDeckをよく使ってました。タブ移動が便利でとても良かったです。

たくさんのTwitterクライアントが生まれましたね。私はWindowsユーザなので、シンプルで高速でタイムラインに目を通せるTweenを長年愛用していました。スマホを持つのも遅かったので、ガラケー用クライアントのモバツイやMovatterにもお世話になりましたね。

当時のTwitterは画像を投稿することすらできず、Twitpicのようなサードパーティのサービスを利用する必要がありました。

RTやハッシュタグといった、今では当たり前の仕様も当時は存在しなかったですもんね。サードパーティのクライアント先行でそういう機能や画像アップロードと自動展開みたいなものが実装されていって、Twitter側がそれらを後から吸収していった、みたいな部分がありましたね。

当時、Twitterの創業者のうちの一人が「Twitterはシンプルであり続けるから、サードパーティ開発者は安心してTwitterのエコシステムに参加して欲しい」というようなことを言っていたのはよく覚えています。

それがサードパーティが先行して導入した機能をどんどん吸収していったので「あれは何だったんだ?」という思いはありましたが、まあ今となっては昔話ですね。

個人的な願望から開発したTwilogとTogetter

ロプロスさんはどういうきっかけでTwilogを作ろうと思ったんですか?

私は旅行が趣味で、昔からTwitterに「支笏湖なう」とか旅行中の様子をツイートしていたのですが、あるときふと「旅行中のツイートをブログの記事のようにまとめて振り返ることができるサービスがあったらいいな」と思ったんです。

せっかくの旅行の思い出が流れて消え去っていくのがもったいなくて。「旅ったー」とかいうサービス名まで考えていました。

やっぱりサービス名は「◯◯ったー」で考えますよね。

そこから「どうせツイートを保存するのなら、旅行に限らずもうすべてのツイートを保存して、もっと汎用的に使えるようにすればいいのではないか?」と思い、Twilogを作り始めることにしました。

当時のTwitterは過去のツイートを見るためには長々とスクロールして遡る必要があって、検索機能も貧弱だったのでニーズはあると思ってましたね。

その頃、ロプロスさんは開発のお仕事をされていたんですか?

私は職業プログラマだった経験はなく、完全に独学でWebプログラミングを学んでいました。それまでにもいくつかWebサービスを作っていたので、APIの利用やデータベースなどに関してはある程度のノウハウがありましたし、当時はアフィリエイトで生計を立てていたので、自分のすべての時間をTwilogの開発に注ぎ込むことができたんです。それが幸いして、学習も含めても1ヶ月くらいの開発期間でリリースまで漕ぎ着けることができました。

なるほど。私の方はと言うと、過去のインタビューなどでも話してますが、Togetterは最初「社内向けに作ったプレゼンテーション作成ツール」でした。ツイートをポチポチ選んで最後に生成すると、プレゼン形式でツイートひとつひとつが表示されるというものです。

社内での評判が良かったので、それを外部に公開してみました。2009年はiPhone 3GSが発売されたり「ヒウィッヒヒー」が流行ったりして、日本でもTwitterが盛り上がってきたタイミングだったので、公開初日からかなり話題になってユーザが増えていったんです。

最初から大きな注目を集めていましたよね。

大量にまとめが作られてくるなかで「もっと読みやすくしたい」という声が多かったのでツイートをデコレーションする仕組みを実装したりして、機能を充実させていきました。

当初は格安レンタルサーバで運営していたこともあって、ユーザ数が増える中で個人でのサーバ運営は困難を極めました。ソフトバンクのイベントで使われた影響でサイトが落ちるということもありましたね。そういった流れの中で2010年に会社化して、運営体制を強化していったんです。

私もTwilogを作り始めた時は「このサービスを大きくしてやるぞ」みたいな思いはまったくなくて、せいぜい1年で1000人くらい登録してくれればいいなぁ、くらいの気持ちでした。そんな感じだったので、実は最初は月500円のレンタルサーバを使っていました。

2009年の8月半ばにTwilogをリリースしたのですが、驚くほどの反響で、当初の目標だった1000人というユーザ数は一晩で超えてしまいました

Twilogもすごい勢いだったんですね。

その後も想像していた以上の勢いでユーザ数が増え続け、当然レンタルサーバでは間に合わなくなったため、すぐに専用サーバを借りて、それまでまったく知識のなかったLinuxやサーバ管理も学ぶことになりました。

私がTwilogをリリースした1ヶ月後くらいにyositosiさんがTogetterをリリースされたのですが、ちょうどそのときの私のツイートが残ってますね。

「流行りそう」と言ってるので先見の明がありますねw

ある話題についての散在しているツイートをまとめて一箇所で見られるというのはすごいアイディアだと思いました。その後のTogetterの発展は皆さんご存知の通りで、同級生が凄く出世したような気分ですw

やっぱり当時のツイートがちゃんと残ってて、すぐ探せるのっていいですね!

Twilog、便利ですw

TwilogとTogetter、それぞれが進んだ道

私はそもそも組織に属さず自由に生きていくための手段としてWebサービスの開発を始めたので、Twilogが当たったあともサービスの拡大よりも自分が自由であることを重視して、ずっと一人で運営してきました。

対照的にyositosiさんはTogetterの運営を組織化して、サービスを大きく成長させましたよね。

どんどん存在感を増していくTogetterを横目で見ながら「凄いなぁ」と思っていたのですが、個人で開発・運営していた頃から、もうそういうヴィジョンは持っていたのでしょうか?それともサービスが成長していく過程で意識が変化していったのでしょうか?

私の場合は、Togetterを作ったときも社会人として働きながらという感じだったので、あまり将来のこととかは考えておらず、仲間内で楽しいからサービスを作ったりしていたという感じでした。

Togetterを組織化したのは、さっきも言及したように急増するトラフィックに耐えられるだけのノウハウを持っていなかったのと、それまで作ってきたサービスは飽きるとメンテナンスが疎かになってサービスとして継続した成長をさせることができなかったので、「Togetterはちゃんとやってみよう」という考えからでした。

つまり自分の経験値になるなら、今までやったことないことをやってみよう、みたいな感じですね。結果、10年以上も会社経営をやることになってしまいました。

なるほど、サービスの成長に合わせて自らも成長していったという感じだったんですね。個人の楽しみで始めたサービスをここまで大きく育て上げた姿勢と手腕には感服します。もし、Togetterがここまで大きなサービスになっていなかったら、Twilogもあのまま終わっていたでしょうし、感謝ですね。

ロプロスさんの「自由に生きていくための手段としてWebサービスの開発を始めた」というのは、そういう考えに至った理由とかバックグラウンドがあったんですか?

私は高校を中退してからアルバイトなど非正規雇用で食いつないできたのですが、社会不適合的なところがあったので他人と深く関わりながら働くのは難しいなぁ、というのもありました。

あと、やっぱり好きなときに好きなだけ趣味の旅行を楽しみたい、というのが大きいですね。実際に多くのユーザを抱えるサービスを運営するようになると、旅行中も気が休まらないという問題もありましたが。

そんなわけで最初はアフィリエイトサイトを作っていたのですが、コードを書くのが性に合っていたのかWebサービス開発のほうにハマっていきました。

そういう経緯があったんですね。ちなみにロプロスさんがTwilogを運営していくなかで「あのときはピンチだった」みたいなことってありました?

Togetterは2011年の東日本大震災の時に情報共有ツールとしてユーザが爆発的に増えたので、その対応が大変だったことを覚えています。

ピンチというか、運営していて一番焦ったのは、旅行中に謎の原因でサーバが落ちて、ほぼ徹夜で対応したことでしょうか。

その時は秋田のドーミーインに宿泊していたのでネット環境も良く、腰を落ち着けて対応できたのは不幸中の幸いでしたが。滞在を楽しみにしていた高級旅館や、通信環境の悪い秘湯宿にいるときじゃなくて本当に良かったな、と。

そういったサーバの問題だけでなく、TwitterのAPIは障害や突然の仕様変更があったりするので、旅行中は常に何も起こらないことを祈ってました。

やはり一人での運営だと、旅行中でも何かあったら対応しなくてはならないですし、多くのユーザの大事なツイートデータを保存し続けなければならないというプレッシャーはいつも感じていました。今はそういう重荷を肩から下ろすことができたので、不安や重圧を感じることなく旅行を楽しめていますね。

Twitterの発展に貢献してきたサービスの終了は、戦友を失うよな淋しさがあった

2012年以降は、Twitterの進化とともにサードパーティのクライアントは厳しい状態に追い込まれていった印象がありますね。Twitter上の機能の一部がAPIとして提供されない、みたいな事情で、外部のサービスと本体で体験が乖離していく感じになっていったと言うか。

特にタイムラインに広告を載せるようになってからは、Twitterとしては外部クライアントを使って欲しくないという思惑もあったのか、締め出しのような施策が打たれ出しましたよね。そのあたりから、開発者界隈ではTwitterへの失望というか、離れていく風潮が出てきたかもしれないです。

2012年にTwitter APIのガイドラインが大きく改定されたんですよね。Display Requirements(表示要件)が強制されるようになって、すべてのリクエストにOAuth認証が必須になり、リクエスト回数の制限が厳しくなったり。

特にTwitter公式アプリと競合するクライアントアプリには、ユーザ数の上限が10万人になるなど、厳しい制限が設けられました。

このあたりからTwitterとサードパーティ開発者との関係の雲行きが怪しくなってきたように感じます。幸いTwilogはDisplay Requirementsを遵守するためにツイートの表示を変更する程度で大きな影響はなかったのですが、Twitterというプラットフォーム上でサービスを運営し続けることの危うさというのは感じ始めていました。

Togetterも2017年にAPIが凍結されたことがあったんですが、Twitter側との連絡手段がまったくない、みたいな状況でした。そんな感じで「開発者と協力してエコシステムを盛り上げよう」という流れがなくなったのはTwitter衰退の要因かもしれなないですね。少なくとも、安心してTwitter関連のビジネスを始められる状況ではなくなったと言うか。

Togetterも何の後ろ盾もない状況で事業をやっていく厳しさは感じていましたね。

Togetter凍結から凍結解除までの経緯と原因をまとめました

TwilogのPV数や収益もだんだん頭打ちになってきていたのですが、Twitterはもうサードパーティのサービスを歓迎していないというのが露骨に伝わってくると、なかなか新機能の開発などユーザ拡大へのモチベーションも上がらなかったというのが正直なところです。

サードパーティ開発者の間でTwitterへの失望感が広がり始め、Twitterの発展に貢献してきたいくつものサービスが徐々にクローズしていくのを見るのは、戦友を失っていくようで淋しいものがありました。

イーロン・マスク氏本人も半分ヤケクソになっているのではと感じていた

2022年にイーロン・マスク氏による買収の話が出てきましたが、その前からTwitterは収支で言えば常に赤字だったし、開発者視点でも欲しい機能は出してこなかったり、いい状態ではなかったですね。

イーロン・マスク氏に対しては、テスラやスペースXなどの経営で有名だったし、Twitterを買収するという話を聞いたときは「いい方向に転ぶんじゃないかな」という期待を持っていましたね。とはいえ、買収自体もかなりゴタゴタしていたので、最終的には押し付けられたという形で、本人も半分ヤケクソになっているのではと感じていました。

XになってしまったTwitterは、なかなか難しいとは思いますがひとまずインプレッションベースでユーザにお金を払うのはやめるべきでしょうね。あれでプラットフォームの良さがかなり壊されていますから。

課金ベースのビジネスにするのはとても難しいと思うのですが、ショッピング機能とかモノやデータを売り買いできるプラットフォームとかにすれば、その拡散力も活用できて新しいプラットフォームになれるんじゃないですか?

Xをスーパーアプリ化するとかいう話もめっきり聞かなくなりましたね。収益の悪化でそれどころではないのかもしれないですが…。

Twilogで確認したら一目瞭然なのですが、いちユーザとしては最近ではツイートする回数もタイムラインを眺める頻度もずいぶん減ってしまいました。でも、まだ旅行情報の収集や旅行の思い出を投稿する場としては大いに役立っていますし、なくなってもらっては困るサービスです。現経営陣には広告主の信頼を取り戻したり、なんとか持続可能な運営を期待したいところですね。

Twilog譲渡の流れ

2023年の1月にクライアントアプリのAPIが突然予告もなく停止され、後出しのようにクライアントアプリの制作を禁じるよう規約が改定され、すべてのクライアントアプリが終了に追い込まれましたね……。

この時点ではまだクライアントアプリ以外のサービスへの影響はなかったのですが、続いて2月にはAPIの利用が有料化されるという発表がありました。

当初イーロン・マスク氏はAPI有料化は悪質なbotを排除するためと語っていたので、このときにはまだ「数万円の負担でこれまで通りの形で使えるのではないか?」という甘い希望も持っていました。

そうですね。

ところが蓋を開けてみると数百万円かかるという想像をはるかに超える金額で、個人開発のサービスにとっては事実上の死刑宣告でした。

クライアントアプリが粛清された時点で、明日は我が身という覚悟もある程度はできていたので、大きなショックはなかったのですが、長年運営してきたサービスが機能停止してしまうという寂しさは大きかったですね。

API停止により新規のツイートを取得できなくなったとはいえ、これまでの残されたツイートを見たいというユーザは数多くいましたし、収益もそれなりに発生するだろうから、大きな赤字にならない限りはそのままサービスは残しておくつもりでした。

Twitter関連サービスの開発者はある程度「いつかは終わる」リスクを把握していたと思うので、ロプロスさんもおっしゃるように、API停止みたいな部分は受け止められるんじゃないかなと思います。

APIの料金に関して言うと、うちからするといいところをついてきたなぁという感じですよね。払えないわけではないが、余裕というわけでもない。Xからすれば一番「搾り取れる」価格設定かもしれません。

そんな中でTogetterのyositosiさんからサービス譲渡の話を持ちかけていただきました。例え私の手を離れたとしても、多くのユーザに使っていただいてきたサービスが復活できるというのは願ってもないことでしたね。

多くのユーザを抱えているにも関わらず、これまでは私が完全に一人で運営するという極めて脆弱な体制だったのが、トゥギャッター社さんという法人に所有が移ることで運営が安定するのも、ユーザにとっては良いことだと思いましたし、サービスを譲渡することへの葛藤のようなものはまったくなかったですね。

むしろ、日本を代表するTwitter関連サービスであり、サービス開始時期が近くて勝手に親近感を抱いていたトゥギャッター社さんに運営を引き継いでいただけるのなら理想的だとも思いました。

TogetterとTwilogが生み出した価値

私はAPI騒動が出始めたくらいから、他のサービスを取り込む必要があるというのは考えていました。Togetter単体というよりは、連合体となって高額なAPI利用料の負担を分散させつつ、マネタイズを強化していくという感じです。

TwilogにはAPI有料化を前に、APIが止まってしまったタイミングで声をかけさせていただきました。Twilogが単体で収益化するのは厳しいだろうと考えていたので、話がスムーズに進んで良かったです。

とはいえ、買収してからサービスの統合まで考えるとかなりのコストがかかってしまったので、これから回収していく必要があるなとは思っています。

なるほど、そういうフェーズなんですね。

TogetterとTwilogは、もう意地で残しているという感じです。Twitter関連サービスの多くが終了し、Xの様相も変わってしまったなかで、TogetterやTwilogが残っていることが最後のカルチャーって感じで。これがなくなったら、いよいよ「あの当時のTwitter」が終わる感じになっちゃうのがもったいないなーと。

8月にアーカイブのインポート機能を実装した時もそうでしたが、ユーザからのポジティブな反響が多くてTwilogは本当に愛されてるなーと思いますね。だからこそ、うまくそこも活かしつつブランディングしていきたいなと。

自分の手を離れた今でも、こういう反応を見るのはとても嬉しいですね。アーカイブのインポート機能は私が運営していた頃から要望が多かったのですが、実装の煩雑さやサーバリソースを圧迫することから、追加することはなかったんですよね。それを実現してユーザの要望に応えてくれたことはありがたいです。

TwilogのTogetterへの統合に関しては、トゥギャッター社のエンジニアの方々は相当苦労されたと思います。

先ほども言ったように、私は独学でプログラミングを学んで個人のWebサービスのみを開発してきたので、Twilogはコードもデータベースの構造も我流で作り上げた無茶苦茶なものでしたし、仕様書なんてもちろんありません。それをフルスクラッチで再構築するというのはさぞ大変だったろうなぁ、と。

その上、数十万人分の何年分ものツイートという膨大なデータの移行も必要でしたしね。今は新環境での稼働も落ち着いているようですし、関わったエンジニアの皆さんには心からお疲れさまでしたと言いたいです。

ありがとうございます。TwilogとTogetterの統合の裏側については、12月に開催される「PHP Conference Japan 2024」で詳しくお話ししたいと思っています。

終了の危機にあった15年続くWebサービスを全力で存続させる〜Twilog・Togetter統合の舞台裏〜 by 吉田俊明、青山民人|トゥギャッター株式会社 | プロポーザル | PHP Conference Japan 2024 #phpcon - fortee.jp

最後になりますが、ロプロスさんはTwilogがTwitterにどういう影響を与えたと考えてらっしゃいますか?

もともとTwitterのツイートは流れ去っていく刹那的なもので、それがブログや他のSNSと違うTwitterらしさでもあったのですが、Twilogを使うことによって日々のツイートが蓄積されいつでも振り返ることができるようになりました。そのことで、「記録に残しておきたいことをツイートする」という、従来はなかったTwitterの使い方を提示することができたのではないかと思っています。

「流れていくツイート群をまとめて残す」という機能でTwitterにそれまでなかった価値を与えた、という点はTogetterも同じだと思っています。

ツイートを残していけることで「あのときの店の名前、何だったっけ?」とか「前にコンタクトレンズ買ったのいつだっけ?」みたいな、記憶を補完するツールとしても非常に役立ってるかと思います。特に日本にはTwitterのヘビーユーザが多く、日々の出来事や思考をこと細かくツイートして、Twilogをライフログのように使ってくださってる人も多いようです。

旅行の思い出、子供の成長記録、メモリアルな日の出来事など、ユーザの方々がさまざまなツイートを振り返るのにTwilogを活用しているのを見るのは開発者冥利に尽きますね。

初期Twitterという自由な環境の中、開発者それぞれの想いから生まれたTwilogとTogetter。15年にわたって両サービスに残されてきたツイート群は、SNSやインターネットという枠を超えた人々の営みや歴史そのものと言えるかもしれない。

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