by Daniel Oberhaus

2024年9月16日、ドナルド・トランプ前大統領が訪れたゴルフ場で銃を持った男が逮捕されました。同年7月に発生したトランプ氏銃撃事件を受けての出来事だったため、各メディアが「大統領選挙期間中に二度も暗殺未遂が起こった」などと報じる中、トランプ氏寄りとして知られる実業家のイーロン・マスク氏が「(ジョー・)バイデンとカマラ(・ハリス)は誰も暗殺しようとさえしない」と発言して物議を醸しました。

Elon Musk Post on Trump Assassination Attempt Criticized - Newsweek

https://www.newsweek.com/elon-musk-post-after-apparent-trump-assassination-attempt-sparks-backlash-1954274

White House condemns 'irresponsible' Elon Musk post on assassination attempt - ABC News

https://abcnews.go.com/Politics/white-house-condemns-irresponsible-elon-musk-post-assassination/story?id=113728678

アメリカ政府によると、ライアン・ウェズリー・ルースと名乗る男がフロリダ州パームビーチにあるゴルフコースの6番ホール付近で待ち伏せしていたとのこと。トランプ氏を警護していたシークレット・サービスのエージェントが茂みから銃口が突き出ているのを見つけたため発砲すると、容疑者は逃走。容疑者はその後近隣の郡で拘束され、銃の不法所持の疑いで取り調べを受けました。

この事件を受けて、Xユーザーの@cb_dogeは「なぜ彼らはドナルド・トランプを殺したいのか 」と投稿。これにマスク氏が反応し、「バイデンとカマラは誰も暗殺しようとさえしない」と返信しました。



マスク氏の返信は瞬く間に拡散され、数時間で3400万回以上の閲覧数と15万回以上の「いいね」を獲得。しかし、批判を受けたためマスク氏は投稿を削除しました。削除にあたり、マスク氏は「人々が文脈を理解せず、プレーンテキストで受け取った場合、ジョークはあまり笑えないことが判明」と述べました。





ホワイトハウスはマスク氏の「ジョーク」に対して「暴力は非難されるべきものであり、決して奨励したり冗談を言ったりするものではない」と指摘。「バイデン大統領とハリス副大統領が述べたように、わが国にはいかなる暴力も存在する余地はない。そして、この事件がさらなる暴力を招かないように、我々全員が自分たちの役割を果たさなければならない」と述べました。

なお、週刊誌のNewsweekによると「バイデンとハリスは暗殺されない」との指摘は正確ではなく、過去に何度か脅迫や未遂を受けたことがあるとのこと。例えば2024年8月には、「ハリスに火をつける」とオンラインで脅迫した容疑で男が逮捕されているほか、6月には「バイデンとハリスを殺す」と脅迫した男が2年の実刑判決を受けています。また2023年には「ハリスを暗殺してユタ州を訪問したバイデンを暗殺する」と脅迫した疑いが持たれている男をFBI捜査官が射殺しており、2022年には「大統領を暗殺しに行く」とホワイトハウスに電話をかけたアラバマ州出身の男が逮捕されているそうです。